アルメニア新大統領が就任、バランス外交を継続

(アルメニア)

欧州ロシアCIS課

2018年04月10日

アルメニアで4月9日、元首相でEUアルメニア政府代表部、駐英大使などを歴任したアルメン・サルキシャン氏が大統領に就任した。大統領の任期は5年から7年に変更されており、サルキシャン大統領の任期は2025年4月までの予定。

アルメニアは2015年に国民投票により憲法を改正し、国民による大統領の直接選挙制を廃止、大統領から議会へ権限を移す統治機構の修正を実施した。大統領は議会によって選ばれ、統治機構上はより形式的な役割を担うこととなった。一方で、議会選挙は選挙区制から政党比例式となり、議会の多数派政党が実質的な国の指導者である首相を選出する。カレン・カラペチャン首相は今般、サルキシャン新大統領に内閣総辞職の辞表を提出し、受理された。新内閣が組閣されるまでは、現内閣が暫定的に業務を行う。

ロシアも外交姿勢を容認

アルメニアはこれまで、対外経済関係でEUとロシアの双方に配慮した「バランス外交」を展開してきた。例えば、ロシアを中心とするユーラシア経済連合への加盟をしながらも、2017年3月にEUとの間で政治、経済、文化など幅広い分野での包括的パートナーシップ協定を締結している(2017年12月4日記事参照)。また、同国南部で国境を接するイランとも経済交流を促進し、国境地域で自由経済区などの建設を進めている(2018年1月5日記事参照)。今後もその方向は変わらないとみられる。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は4月8日、同国の外交姿勢について、アルメニアメディアのインタビューに答え、「EUとロシアとの関係は択一的ではない」と語り、ロシアとしても現時点でのアルメニアの多方面のバランス外交を容認する姿勢を示している。

サルキシャン新大統領は認証式の演説でサルグシャン前大統領の経済外交政策を引き継ぐ旨表明している。

(高橋淳)

(アルメニア)

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