零細企業に対する法人税が再び選択制に

(ルーマニア)

ブカレスト発

2018年04月10日

零細企業に対する法人税制度の変更を含む、財政・予算措置の承認およびその他の法律の修正に関する緊急命令25/2018が3月30日、官報で公示された。法人税に係る変更については、4月1日に適用が開始された。

ルーマニアの法人税は対利益16%だが、零細企業(売上高が年間100万ユーロ未満)に対しては、総売上高1%(注1)を課す零細企業用税制が取られている。今回の改定により、一定条件を満たす零細企業は通常の法人税制を選択することが可能になった。今回の変更で対象となるのは、零細企業用税制対象企業のうち、株主資本が4万5,000レイ(約126万円、1レイ=約28円、レイは通貨単位レウの複数形)以上で、2人以上の被雇用者(注2)を有する企業。対象企業は、本条件を満たした四半期から、管轄の財政当局に申告の上、通常の法人税制を選択することが可能になった。特定条件を満たさなくなった場合、当該会計年度の翌年以降は零細企業用税制が適用される(注3)。

本改定は2017年11月の改定内容の一部復活

零細企業用税制は2017年11月の緊急命令において変更されたばかり(2017年11月22日記事参照)。同改定では、零細企業用税制の対象が売上高50万ユーロ未満の企業から100万ユーロ未満の企業に拡大されたほか、それまでは任意とされた株主資本4万5,000レイ以上の企業への適用を義務化する変更がなされた。つまり今回の改定では、株主資本4万5,000レイ以上の零細企業に対する通常の法人税制の選択権が復活したかたちだ。

(注1)被雇用者が1人以上いる場合。被雇用者がいない場合は3%。

(注2)被雇用者とは、フルタイムでの労働契約に基づく雇用者を指す。ただし複数のパートタイム労働者の労働時間の合計が2人以上のフルタイム労働者の勤務時間と同等になる場合も認められる。また社外の管理者や委託者と法定最低賃金以上の報酬の契約関係にある場合も1人とカウントされる。

(注3)雇用人数が2人を下回った場合、60日以内に再び条件を満たすことができれば翌年度も法人税制の適用が可能。

(藤川ともみ)

(ルーマニア)

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