中国系ジョイソン・エレクトロニクスによるタカタの事業買収が完了
(米国、中国)
ニューヨーク発
2018年04月19日
中国系自動車部品メーカーの均勝電子(ジョイソン・エレクトロニクス)は4月11日、米国子会社のキー・セイフティ・システムズ(KSS)が、自動車用安全部品メーカー大手で、民事再生手続き中のタカタの事業買収を完了したと発表した。買収の対象となるのは、エアバッグ関連事業を除いた全世界のほぼ全ての事業で、買収額は15億8,800万ドルとなる。
リコールの対象となっているエアバッグ部品は、米連邦破産法第11章の手続きによって設立された、タカタとは別法人となるRTK(Reorganized Takata )が、KSSとは独立して製造、販売を行う。
買収元のジョイソン・エレクトロニクスは、中国浙江省に本社を置く大手自動車部品のメーカー。17カ国20カ所の拠点で自動運転システム、安全システム、自動車部品の研究開発や製造・販売を行う。2004年の創業以来、KSSやドイツの車載用システムメーカーのプレー(Preh)など外国企業の買収でグローバル化を進める新興企業だ。
多額の制裁金やリコール費用
タカタ製エアバッグのリコールは、2008年以降全世界に広がっており、少なくとも累計で8,100万個以上に上った(2017年6月時点)。中でも、米国は約4,950万個(非営利団体コンシューマーレポート調べ)と、同社の経営破綻に与えた影響は大きく、今後の追加リコールを含めると、2019年12月までに、6,500万~7,000万個に達するとみられている〔米運輸省道路交通安全局(NHTSA)〕。タカタは、自動車メーカーに対するこれらリコール費用の負担のほか、米司法当局などに対し、被害者補償金および罰金として10億ドル、民事制裁金として合計で7億2,000万ドルなどの支払い義務を負っていた。
エアバッグは通常、衝撃を感知するとガス発生装置であるインフレーターが着火され、燃焼による化学反応でガスが発生し膨らむ仕組み。タカタの事故は、エアバッグ作動時にインフレーターが異常破裂し、内部の金属片を飛散させたことによって生じた。NHTSAは、外部調査に基づき、ガス発生剤として、長期間に高温多湿などに置かれるなどの一定の条件下では劣化しやすい硝酸アンモニウムを使用したことが事故原因だとし、タカタの製造責任を追及していた。エアバッグ不具合によるこれまでの死者は、少なくとも米国で15人、全世界で20人となった(コンシューマーレポート調べ)。
(大原典子)
(米国、中国)
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