EU、2017年の加盟国・時給データを公表

(EU)

ブリュッセル発

2018年04月12日

EU統計局(ユーロスタット)は4月9日、2017年のEU加盟国における時給データ(社会保障など含む推計値)を発表した。平均時給水準はEU28カ国で26.8ユーロ(前年比2.3%増)、ユーロ圏で30.3ユーロ(前年比1.9%増)だという。

これは農業・公的機関を除いた全業種平均の時給データで、「製造業」「サービス業」「建設業」「非営利事業」などの業種区分はあるが、特定の職能(生産ライン作業者、エンジニア、販売員など)単位の時給水準は開示されていない。また、この時給には給与・賃金(賞与・諸手当含む)(直接労務費)以外の社会保障給付など間接労務費も含まれている。時給の集計対象は従業員10人以上の企業・団体となっている。

最大8.7倍の格差

EU加盟28カ国の中で、時給実績上位5カ国は、デンマーク(42.5ユーロ)、ベルギー(39.6ユーロ)、ルクセンブルク(37.6ユーロ)、スウェーデン(36.6ユーロ)、フランス(36.0ユーロ)で、時給実績下位5カ国は、ブルガリア(4.9ユーロ)、ルーマニア(6.3ユーロ)、リトアニア(8.0ユーロ)、ラトビア(8.1ユーロ)、ハンガリー(9.4ユーロ)で、「西高東低」の傾向が明確となっている。最上位のデンマークと最下位のブルガリアでは8.7倍の格差があり、大幅な所得格差を内包する国々が単一市場を形成するEUの特殊性が浮き彫りとなった。

2016年との比較での時給の伸び率をみると、ユーロ圏ではリトアニア(9.0%増)、エストニア(7.4%増)、ラトビア(7.0%増)とバルト3国での上昇が目立った。他方、非ユーロ圏(自国通貨ベース)ではルーマニア(15.0%増)、ブルガリア(12.0%増)の上昇が顕著だった。

また、業種区分ごとにみると、「製造業」の時給はEU全体で27.4ユーロ、ユーロ圏では33.4ユーロ。「サービス業」ではEU全体で26.6ユーロ、ユーロ圏では29.3ユーロ、「建設業」ではEU全体で23.7ユーロ、ユーロ圏では26.7ユーロだった。

このほか、労務費(時給)全体に占める間接労務費の割合はEU全体で24.0%、ユーロ圏では25.9%。EU加盟国中、間接労務費の割合が最も大きい国はフランスで32.8%、逆にこの割合が最も小さい国はマルタ(6.7%)だった。

本報告の詳細外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照のこと。

(前田篤穂)

(EU)

ビジネス短信 1b99651539ce0625