アリババ会長、プラユット首相と会談

(タイ)

バンコク発

2018年04月27日

タイを訪問した中国の電子商取引(EC)最大手アリババグループのジャック・マー会長は4月19日、タイのプラユット首相と会談した。マー会長は、今後5年間にわたり、東部経済回廊(EEC)と構成するタイ東部3県(ラヨーン県、チョンブリ県、チャチェンサオ県)に対し、3億ドルに及ぶ投資を表明した。さらに同会長は、アリババグループとタイ政府との間で次の4つ覚書(MOU)を結んだ。

  1. タイの中小企業やスタートアップ企業に向けに、デジタル技術やEC分野における人材育成支援を支援
  2. タイ政府観光庁と協力し、観光分野のデジタル・プラットフォーム開発の支援
  3. コメやドリアンなどのタイ産農産品をアリババグループのウェブサイトを通じ販売
  4. EEC域内にスマート・デジタル・ハブを設立し、タイを中心に近隣諸国との物流サービスの効率化を図る

マー会長は、「われわれは、『タイランド4.0』政策を通じたタイ経済の将来性や潜在力を信頼している」と述べ、タイ市場経済への期待をみせた(注)。プラユット首相も、「アリババグループは、タイがASEANのEC拠点となる潜在力を有すると信じている」と述べた。

ソムキット副首相(経済担当)からは、「アリババによる投資は、タイの中小企業の製品や地方農産物を、中国など国際市場へ輸出拡大するためにも重要だ」との発言があった。

タイの中小企業は、アリババグループのオンライン・プラットフォームを使用し、中国に商品を輸出できる。ただ、タイの一部有識者は、「中国からも多くの商品がタイに輸入されるだろう。タイ政府はこうした状況を深く認識すべきだ」と指摘する。

(注)タイランド4.0は、タイの産業高度化に向けた中長期的な国家のビジョン。同ビジョンの下、タイ政府は先端産業における外資誘致を強化しており、その中核となる政策が「東部経済回廊(EEC)」開発構想だ。

(阿部桂三)

(タイ)

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