大統領選でプーチン氏圧勝、過去最高の得票率

(ロシア)

モスクワ発

2018年03月20日

大統領選挙が3月18日に実施され、世論調査などで予想されていたとおり、プーチン大統領が76.7%の得票率で2位以下に大差をつけて圧勝した。注目されていた得票率は、2012年の前回大統領選から大きく伸ばし、ロシアになってからの大統領選で最高を記録した。

2位の候補に60ポイント超の大差

中央選挙管理委員会の発表によると、プーチン大統領の得票率は76.7%(開票率99.84%時点)で、2位のパベル・グルジニン候補に60ポイント超の差をつけて圧勝した(表参照)。過半数の票を獲得したため、決選投票は行われない。現在の任期は5月7日に満了となり、次の任期は2024年までの6年間。

表 各候補者の得票率

モスクワ時間の午後9時に、カリーニングラード州を最後に投票が締め切られ、直後に大勢が判明した。午後11時にプーチン氏はモスクワのマネージ広場で行われていた集会のステージに登場し、有権者の支持に感謝を述べ、「われわれには成功が待っている」と勝利を宣言した。

勝利宣言後、プーチン氏は次期政権の組閣に関する記者からの質問に対し、「次の任期に就いた後に変化が起きる」「組閣について考え始めたところだ」と述べるにとどめた。

モスクワで7割の票を獲得

プーチン氏の得票率は、これまでの大統領選で最高となった。前回2012年3月の大統領選では63.6%にとどまった。前回低迷した地域での得票率が回復し、モスクワ市では47.0%だったのが、今回は70.7%と大幅に伸ばした。連邦構成体別で最高の得票率はカバルディノ・バルカリヤ共和国の93.4%、最低はサハ共和国(ヤクーチヤ)の64.4%だった。

2位の得票率だった共産党候補で農業経営者のグルジニン氏は、選挙前の世論調査結果を上回る11.8%を獲得した。1996年から4度大統領選に立ったゲンナジー・ジュガーノフ党首に代わって立候補した。

投票率は67.5%と、前回選挙の65.3%から2.2ポイント上昇した。政府はテレビコマーシャルや屋外広告などで積極的に広報したほか、プーチン大統領も選挙直前の3月16日に国民に投票を呼び掛けたが、目標としていた70%には届かなかった。

大統領選前に今後の政策作成を指示

プーチン大統領は大統領選に先立つ3月16日に、次の任期を見据え3月1日の年次教書演説を踏まえた経済政策策定を指示した。アントン・ワイノ大統領府長官には、2024年までの国家発展目標を4月15日までに作成するよう命じた。

国家発展目標には、平均寿命を2024年までに78歳、2030年までに80歳まで引き上げ人口を増加させること、実質所得と年金の伸び率をインフレ率以上とし、生活水準を改善させ、貧困人口を半分に減らすこと、ロシアを世界で経済規模上位5位の国にすること、国民の才能を発掘し育成するメカニズムを整備することなどを盛り込むとしている。さらに、ヘルスケア、教育、輸出、労働生産性、小ビジネス・起業支援、デジタル経済などの分野でも国家目標の設定を指示した。

メドベージェフ首相には7月15日までに、経済団体と協力してビジネス環境改善策を提案することなどを求めたほか、中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁と協力し、固定資本投資の伸び率を引き上げて同投資額のGDP比を25%に引き上げる行動計画の作成を指示している。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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