許認可申請の処理期限を明確化-タミル・ナドゥ州でビジネス環境改善に向けた新州法施行(1)-

(インド)

チェンナイ発

2018年02月28日

タミル・ナドゥ(TN)州政府は1月12日、新州法と関連規則を施行した。ビジネス環境改善に向けて、許認可申請の受理から処理までの期限を明確化するとともに、投資許認可をワンストップで受け付けるシングルウインドーサービスのポータルサイトを開設するなど、煩雑な行政手続きを簡素化し、対内投資の受け入れ拡大を目指す。新州法の概要などについて、2回に分けて紹介する。

「見なし承認」の考え方も導入

従来、タミル・ナドゥ州には、投資にかかる行政手続きの簡素化を規定した州法として、「2009年タミル・ナドゥ州ビジネス促進法(Tamil Nadu Business Facilitation Act, 2009)」があった。しかし、各種申請の処理期限が明記されているものはわずか7項目のみで、かつ記載が不明瞭だった。

今般施行された「2018年タミル・ナドゥ州ビジネス促進法(Tamil Nadu Business Facilitation Act, 2018)」と「2018年タミル・ナドゥ州ビジネス促進規則(Tamil Nadu Business Facilitation Rules, 2018)」では、各種申請の受理後処理期限が、設立前、操業前、更新時、インセンティブ、およびその他、に分けて網羅的に記載された。

また、期限内に承認できなかった際の対応として、新たに「見なし承認」という考え方が導入された。適切な理由なく、行政機関の対応が遅れた場合、申請が承認されたものと見なし、法令や規則に抵触しない限り、企業は申請した業務を実行できる。もしくは、その後の投資手続きへ移行できると定められている。

ポータルサイトで多くの手続きが可能に

新州法の施行に伴い、企業の投資許認可申請をスムーズにするため、州政府はシングルウインドーサービスのポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設した。同サイトの開設により、拠点設立などに関係する11の州政府関連部門へウェブサイト上で申請書類の提出が可能になった。これまでは、同サービスを所管するTN州工業省ガイダンスビューローのウェブサイトから申請書類をダウンロードできるのみで、企業は書類原本をガイダンスビューロー窓口に持参しなければならなかった。また、新ポータルサイトでは申請書類が承認フローのどの段階にあるのか随時チェックできるほか、承認後には承認書類の電子データをダウンロードできる。加えて同サイトは、申請料金の支払いのほか、州政府への苦情や改善要望も受け付ける。

そのほかでは、シングルウインドーサービス利用における最低投資額の条件が撤廃され、投資額の多寡にかかわらず、同制度を利用できるようになった。また、期限を超過した場合の当局への罰則、許認可にかかる一部検査の民間への委任、関連当局による同日検査の実施などが初めて盛り込まれるとともに、シングルウインドー手続きの実効性をモニタリングする上位機関の設立に関する規定も設けられている。

(坂根良平)

(インド)

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