ブラジルとコロンビア、自動車協定の運用始まる

(ブラジル、コロンビア)

サンパウロ発

2018年01月12日

南米南部共同市場(メルコスール)とコロンビア間の経済補完協定に基づく、ブラジル・コロンビア間の自動車協定の運用が始まった。2017年12月20日付の商工サービス貿易局(SECEX)省令第47号は翌日の官報に掲載され、コロンビア向け自動車無関税輸出枠の内容などが公布された。

域内原産割合ごとに自動車無関税枠設定

SECEX省令第47号は、2017年7月に調印されたメルコスール加盟各国とコロンビア間の経済補完協定第72号(APP.CE No.72)のうち、ブラジルとコロンビア間は12月20日に発効(同日にアルゼンチン・コロンビア間も発効)したことを受けたもの。協定文書は、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている。

経済補完協定第72号は、2005年に発効した経済補完協定第59号(ACE No.59)を更新・拡大するもの。ブラジル・コロンビア間では自動車、繊維、鉄鋼の市場アクセスが改善された。中でも自動車はブラジル最大の工業輸出品となっており、同付属書IIに記載されている自動車協定の意義について、マルコス・ぺレイラ・ブラジル商工サービス相は「この協定は地理的近接性のあるコロンビア市場を得ることにより、回復途上にあるブラジル自動車産業に多大なインパクトを与える」と強調している。

メルコスール・コロンビア経済補完協定第72号は、ブラジルにおいては12月6日付の法令第9620号で法制化された。また、自動車についての協定である付属書IIに関しては、12月20日付の商工サービス貿易局(SECEX)省令第47号(翌日に官報掲載)が、2018年の各社への無関税枠の配分ルールとその運用、各社ごとの配分枠などを設定している。

協定付属書IIによると、ブラジル・コロンビア間の無関税枠は双方とも1年目(2017年)1万2,000台、2年目(2018年)2万5,000台、3年目(2019年)以降5万台となる。自動車については、3.5トン超のトラックや16人乗りを超えるバスは対象外。無関税枠はさらに域内原産割合(RVC)50%と同35%を満した完成車で、それぞれ台数枠が設定されている。域内調達が比較的容易なブラジルは、RVC50%を満たした完成車枠が2018年全体枠の5分の4を占め、サプライヤーの数がブラジルより少なく、域内調達が難しいコロンビアはRVC30%順守の完成車枠が全体枠の5分の4を占めている。

日系3社の2018年の無関税台数枠は3,553台

SECEX省令第47号によると、2017年の無関税枠は1万2,000台だが、同年は発効日から年末までの輸入国側の商品通関日となっている。ブラジルからコロンビアへの輸送日数は11日以上かかるため、同年の無関税枠の利用は事実上不可能だ。実質的には2018年からの運用開始となる。

2018年の無関税枠2万5,000台の配分は2017年末までの貿易実績を基礎とし、前述の域内原産割合に応じた2段階の無関税枠設定に加え、以下のとおり、各社への無関税枠の配分がされている。ちなみに、日系メーカー3社(トヨタ、ホンダ、日産)への配分は計3,553台となる。

(1)全体の5%(1,250台)は新規輸出メーカーに充てる予備枠。

(2)同20%(5,000台)はコロンビア向け無関税枠に関心を表明した各社に均等配分。

(3)同40%(1万台)は同無関税枠に関心を表明した各社間で2012~2017年の対コロンビア輸出実績に応じて配分。

(4)同35%(8,750台)は無関税枠に関心を表明した各社間で2016年の自動車国内登録台数に応じて配分。

(大久保敦)

(ブラジル、コロンビア)

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