小売店の日曜営業制限法案が可決-3月から段階的に施行、2020年には原則禁止へ-

(ポーランド)

ワルシャワ発

2018年01月23日

日曜日の小売店の営業を禁止する法案が1月10日に国会で可決された。今後、大統領の署名を経て施行となる見込みだ。2018年3月以降に段階的に施行される予定で、最終的に小売店は2020年から原則として日曜日の営業が禁止される。

1年のうち7日間と一部の業種などは対象外

今回の日曜営業制限法案は、独立自主管理労働組合「連帯」が発議(注)したものだが、与党・法と正義(PiS)も選挙公約に掲げていた。

小売店は、2018年3月から毎月第1日曜日と最終日曜日のみ、2019年からは最終日曜日のみ営業が認められ、2020年からは日曜日の営業が禁止される。

ただし、法案には幾つかの例外が盛り込まれている。まず、1年のうち7日間は適用対象外として、今後も営業が可能となる(表参照)。

表 日曜営業制限法の対象外となる日曜
対象外の指定日
1月 最終日曜
3月または4月 イースター祭日直前の日曜
4月 最終日曜
6月 最終日曜
8月 最終日曜
12月 クリスマス(25日)直前とその1週前の日曜(2回)

(出所)日曜営業制限法案

また、一部の業種(ガソリンスタンド、パン屋、薬局、花屋、郵便局、ホテルや病院の売店、免税店など)や公共交通機関の切符販売なども例外として営業禁止の対象にはならない。個人商店を念頭に、オーナーによって直接運営される場合も対象外だ。ただし、コンビニエンスストアなどのフランチャイズは適用対象となり、日曜日の営業は認められない。さらに、12月24日とイースター(復活祭)の土曜日も午後2時以降の営業は禁止される。この場合、雇用主は従業員に対して、終日分の給与を支払う必要がある、と法案は規定している。

適用対象外のネット販売の加速促す

インターネット販売を含む通信販売も、同法案の適用対象から外された。この法案が通信販売を対象とした場合、情報社会サービスの規制を内容とするEU指令〔欧州議会・理事会指令(EU)2015/1535)〕に基づき、EUへ通知しなければならない可能性があり、通知後に猶予期間を設ける必要があるなど発効が相当遅れる可能性があるためだ。ただし、当初の自主管理労働組合「連帯」の法案では通信販売も同法案の対象とされており、今後、PiSが通信販売を対象とする修正案を提出する可能性もある。当面は、一部小売企業にとって、通信販売の加速を促す規制になるとみられている。

同法案に違反した場合は、1,000~10万ズロチ(約3万3,000~330万円、1ズロチ=約33円)の罰金が科される。

ポーランド国内における日曜営業制限法案への支持率は、2016年9月に61%、2017年11月には58%だった(世論調査会社CBOS)。約4割の国民は必ずしも全ての日曜日の営業禁止に賛成しているわけではないのが実情だ。

また、調査会社カンタルTNSが2017年10月に行った調査では、日曜営業制限法への賛成が4割弱にとどまる一方で、8割弱の人が1カ月当たり2回の営業制限が最も望ましいと回答している。

ドイツ、オーストリア、ノルウェーやスイスでも同様の法律が施行されているが、オルバーン・ビクトル首相率いるハンガリー政府が2015年に導入した日曜営業制限法は、有権者に不人気で約1年後に廃止された。

(注)ポーランド憲法118条2項では、10万人以上の選挙権を持つ市民の集団による法の発議権を認めている。

(ニーナ・ルッベ・ルビニスカ、小松理恵)

(ポーランド)

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