中銀、通貨を対ドルで15%切り下げ

(エチオピア)

アディスアベバ発

2017年10月11日

中央銀行は10月10日に、通貨ブルの為替レートを対ドルで15%切り下げると発表した。切り下げは翌11日からで、1ドル=26.91ブルが基準となる見込み。併せて政策金利は2ポイント引き上げられ、7%となった。

物価への影響を注視

中銀の10日の発表は、国営メディアのみを対象とした記者会見で行われた。世界銀行などはかねて、通貨ブルが意図的に高く維持されているとして、為替切り下げを提案していた。エチオピア政府・中銀は、切り下げによる輸出競争力の向上よりも物価高騰への悪影響の方が大きいとして拒否していたが、為替が割高なことで輸出も伸び悩み、一部専門家の間では切り下げは不可避とみられていた。

過去1年余り、徐々に闇レートと公定レートとの差が開いてきており、25%近い時期もあった。政府は慢性的な外貨不足の中、公定ルートでの換金を促すために取締官を増やして闇市場での換金の摘発を強化するなど対策を取っていた。ある両替商が切り下げ発表後に提示したレートは1ドル=27.50ブル(エチオピア商業銀行のレートは23.42ブル)で、闇レートの方が17%ほど高い。

エチオピアは通貨を小刻みに切り下げるクローリング・ペッグ制に似た為替管理制度を採用している。報道によると、前回2010年に14%の為替切り下げが行われたときには、物価は最大40%上昇した。2017年9月の国内の消費者物価指数(CPI)上昇率は10.8%を記録し、2カ月連続で2桁を超えている。

(関隆夫)

(エチオピア)

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