複合的サービスが好評、「新型生鮮スーパー」開店相次ぐ-アリババ集団傘下の盒馬鮮生が先行-

(中国)

上海発

2017年09月05日

アリババ集団傘下の盒馬鮮生は、オンラインと実店舗での販売、宅配などを組み合わせた複合的なサービスを提供し、成功を収めている。「新型生鮮スーパー」と呼ばれるビジネスモデルで、2017年に入り多くの小売企業が続々と参入している。

オンラインと実店舗販売に宅配を組み合わせ

盒馬鮮生は、電子商取引(EC)大手の京東で高級管理者を務めた侯毅氏が2015年に設立し、新型生鮮スーパーを経営する。2016年1月15日に上海市浦東新区の金橋に1号店を開設、3月にはEC最大手のアリババ集団が1億5,000万ドルを投資し、子会社化した。

盒馬鮮生はオンライン販売と物流システムを活用して、顧客の複合的なニーズを取り込む新しいビジネスモデルを構築し、成長を遂げている。7月18日には1号店の経営が黒字化したと発表した。現在、北京市、上海市、浙江省寧波市で計13店舗を展開している同社のビジネスモデルには、主に以下のような特徴がある。

(1)オンライン販売と実店舗販売を行う。実店舗はオンライン販売の出荷拠点でもあり、実店舗に近い地域の顧客であれば最短30分で商品を届けられる。

(2)オンライン販売の物流システムを有効に活用している。顧客は同システムを使って実店舗で購入した商品を速達で自宅に配送させることが可能で、マイカーを持たず大量の商品を購入する顧客に合ったサービスを提供している。

(3)実店舗にキッチンを設置し、顧客は購入した食材をその場で調理してもらい食べることができる。

(4)決済は現金のほか、アリババ集団傘下の電子決済システム「支付宝(アリペイ)」でもできる。

同種のビジネスモデルが急速に普及

盒馬鮮生は小売業界に影響を与えており、2017年に入り、新型生鮮スーパーが続々と開業している。

スーパー大手の永輝超市(本社:福建省福州市)は1月1日、福州市に「超級物種」という新型生鮮スーパーを開業した。盒馬鮮生と同じく、オンライン販売、実店舗販売、宅配便と飲食店を組み合わせている。永輝超市は「超級物種」の店舗拡大を図っており、2017年上半期に福州市にさらに2店舗、福建省アモイ市と広東省深セン市にそれぞれ1店舗を開設した。

他の小売企業も新型生鮮スーパーに相次いで参入している。ショッピングモールを経営する新華都は5月に福州市に「海物会」を、小売業大手の百聯集団は6月に上海市に「RISO」を、スーパー経営の歩歩高は6月に湖南省長沙市に「鮮食演義」を、スーパー大手の大潤発は7月に上海楊浦支店内に「大潤発優鮮」を、同じく世紀聯華は8月15日に浙江省杭州市に「鯨選」をそれぞれ開業した。

(文涛)

(中国)

ビジネス短信 3a40f6321af06063