ブレグジット後のマイナスの影響を懸念-日EU・EPAに対する英国の反応-

(英国、EU、日本)

ロンドン発

2017年07月12日

英国では、日EU経済連携協定(EPA)の大枠合意のニュースを受け、リアム・フォックス国際通商相が歓迎の意を表明した。主要メディアは、保護主義への対抗措置として日EU・EPAを評価する論調のほか、EU離脱(ブレグジット)後に英国に及ぼす影響についてリスクを指摘する論調も目立った。また、進出日系企業からは、EPA効果によるビジネス拡大に期待する声も聞かれた。

国際通商相は歓迎のコメント

フォックス国際通商相は7月6日、日EU・EPAについて「このような野心的な貿易協定で進展があり、明るい話題でうれしく思う。日本もEUもこのモメンタムを失わないよう迅速な決着を期待する」とコメントした。

一方、野党・自由民主党のトム・ブレイク影のEU離脱相は「2016年に英政府は、日EU・EPAの英国経済への効果を年間50億ポンド(約7,300億円、1ポンド=約146円。世帯当たり約200ポンド)と試算していたが、残念ながら、日本がEPAを完全に批准するころには、英国はEUから離脱している可能性が高い。世論の変化にもかかわらず、首相はいまだに経済に負の影響をもたらすハードブレグジット(強硬なEU離脱)を推進しており、そのコストに加えて、EUが有する54カ国との貿易協定へのアクセスも失う」と嘆きつつ、「EUが引き続き世界の主要国との貿易協定を締結する間に、フォックス国際通商相と彼のチームは24万マイル(約38万4,000キロ)の公費出張にもかかわらず、これまでのところ1つの成果も上げていない」として、現政権を批判した。

主要メディアはブレグジット後のリスクを指摘

日EU・EPA大枠合意について、英国産業連盟(CBI)や英国経営者協会(IoD)、英国商工会議所(BCC)など主要経済団体は今のところコメントを発表していない。しかし、スコッチウイスキー協会のカレン・ベッツ最高経営責任者(CEO)は7月6日に歓迎のコメントを発表し、「スコッチウイスキーの日本向け関税は既にゼロだが、日本におけるスコッチウイスキーの特別な法的保護措置が導入される点で重要」とし、地理的表示(GI)の保護強化を成果として評価した。一方で、「世界最大規模の2つの経済圏による自由貿易協定(FTA)は、広範なセクターに恩恵をもたらし、その進展は特に将来の貿易政策の方向性が検討されているブレグジットの過程において歓迎すべきものだ」として、日EU・EPAがブレグジットに与える影響も指摘し、英国政府に対して、移行期間の確保や、現在EUが有する韓国やコロンビア、ベトナムなどとの貿易協定の恩恵をブレグジット後も確保できるよう促した。

主要メディアでは、「フィナンシャル・タイムズ」紙(7月7日)がブレグジット後の英国のリスクを指摘。万が一、英国とEUとの将来の貿易協定が日EU・EPAより劣る場合、自動車産業などの日本企業の英国製造拠点の競争力は弱まり、投資判断にも大きな影響をもたらし得るとの懸念を指摘した。

進出日系企業には期待と嘆きの声

進出日系企業では、日本や北米の工場から商品を輸入して欧州で販売している中小の食品メーカーが、関税率(10~20%)の削減・撤廃により競合の中国製品に対して競争力が出るとして「正直なところ、期待は大きい」とコメントする一方で、原産地規則や食品規制への対応など、EPA発効前に十分な準備期間が必要、と課題を指摘した。

また、英国を拠点とする情報通信サービス分野の企業は「サービス貿易に対する最恵国待遇などを規定する」「日本とEU間で個人情報の移転が可能」「電子商取引で電子契約の法的効力を確認する」といった点に好影響が期待される一方で、「一番の問題は、ブレグジットで日EU・EPAの恩恵を得られない可能性が大きいことだ」として、英国のEU離脱を嘆きつつ、将来、EU圏に拠点を設置する可能性についても言及した。

(佐藤丈治)

(英国、EU、日本)

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