1. サイトトップ
  2. 世界のビジネスニュース(通商弘報)
  3. 財務相や産業界がEU離脱交渉に注文

財務相や産業界がEU離脱交渉に注文

(英国、EU)

ロンドン発

2017年06月21日

EUとの離脱(ブレグジット)交渉が6月19日に本格的に幕を開けたが、英国では財務相や産業界が交渉方針についての考え方をあらためて表明した。総選挙で保守党が過半数割れしたことから、「ソフトブレグジット」へ方向転換されるとの臆測もある中、こうした声がテレーザ・メイ首相の交渉方針にどう影響することになるのか注目される。

在英EU市民、在EU英国民の権利保障へのアプローチを説明

本格交渉に当たっては、デービッド・デービスEU離脱相がEU本部のあるブリュッセルを訪問、EUのミシェル・バルニエ首席交渉官と顔を合わせた(2017年6月20日記事参照)。初回交渉後に会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに臨んだデービス離脱相は、今回の交渉では在英のEU市民や在EUの英国民の権利保護に優先的に取り組むことを確認したとし、「共通認識を持つことができたことは喜ばしい」と表明、「可及的速やかに該当するEU市民・英国民の地位を確実なものにしたい」と述べた。

その上で、6月22~23日に開催される欧州理事会(EU首脳会議)でメイ首相がこの問題に対する英国のアプローチについて説明、さらに6月26日には、在英のEU市民や在EUの英国民の権利保護の問題解決に向けた英国としての提案の詳細を明らかにするとした。

英国ではロンドン西部でのマンション火災や北部でのテロ事件などが相次いだ影響もあり、保守党と北アイルランドの民主統一党(DUP)との閣外協力の協議が遅れている。これにより、総選挙を受けた女王による施政方針演説が6月19日から21日に変更されるなど、国内の政治体制が十分に固まっていないことや、1回目の本格的な交渉だったということもあり、デービスEU離脱相の会見からは、詳細な議論により生じるとみられる意見の対立は避け、友好ムードを演出しようとした意図もうかがわれる。

摩擦ない関税上の取り決めが必要

一方、フィリップ・ハモンド財務相が6月20日に、ロンドン市長の公邸(マンション・ハウス)に金融関係者らを招いて毎年行われる「マンション・ハウス・スピーチ 」で、EU離脱に伴うEUとの新たな関係性について、モノ・サービスの貿易についての包括的な合意を得ることが最重要と述べた。次に、通商上の取り決めを結ぶことなく離脱に至る「クリフエッジ(崖っぷち)」の事態を避けるため、移行措置の設定について議論するよう求めた。また、アイルランドとの国境線の自由化を維持するとともに、EUとの貿易を行う際にも必要となる摩擦のない(frictionless)関税上の取り決めについて合意することが必要との考え方を示した。

かねてEU単一市場と関税同盟からの離脱、あるいは「英国にとって悪い内容で合意するよりは合意しないほうが望ましい(No deal is better than bad deal)」という「ハードブレグジット」路線を打ち出しているメイ首相に対し、ハモンド財務相は穏健な「ソフトブレグジット」を唱える産業界に最も近いとされており、閣内でどの程度影響力を行使できるか注目されている。

産業界は無関税貿易や最低限の通関手続きを主張

産業界も本格交渉開始に先立つ6月17日、交渉上の優先事項についての考え方を表明した。これは、英国商工会議所(BCC)、英国産業連盟(CBI)、英国製造事業者連盟(EEF)、中小企業連盟(FSB)、英国経営者協会(IoD)の主要5団体の連名でなされたもので、産業界の利益・関心に配慮して交渉に臨むよう政府に要請し、具体的に追求すべき事項について説明している(表参照)。

表 産業界としての交渉上の優先事項 (出所)CBI

それによると、在英のEU市民や在EUの英国民の地位の保全を早期に行うよう求めているほか、新たなEUとの関係性については無関税貿易を維持しつつ、通関手続きの簡素化を訴えている。また、サービスなどへの相互アクセスを維持するため、規制の同等性確保や相互認証なども必要としているほか、EUが既に自由貿易協定(FTA)を締結している国への英国事業者のアクセスなどの便益を保護するよう求めている。

(佐藤央樹)

(英国、EU)

通商弘報 ac23eecb21b4cdb6

ご質問・お問い合わせ

よくあるご質問

ログインやメール版通商弘報などのよくお寄せいただくご質問とそのご案内をまとめました。
お問い合わせをいただく前にご確認をお願いします。

通商弘報ご購読・ご利用に関するお問い合わせ

ジェトロ・メンバーズ及び中国経済情報研究会の方

ジェトロメンバー・サービスデスク(会員サービス室)

  • フリーダイヤル(平日9時~12時/13時~17時)
    Tel:0120-124-344
  • 通常ダイヤル
    Tel:03-3582-5176 Fax:03-3582-4572
    E-mail:jmember@jetro.go.jp

「通商弘報」定期購読の方

ジェトロ海外調査計画課
Tel:03-3582-3518
E-mail:kouhou@jetro.go.jp