日本の水産品をシェフやメディアにもPR-世界最大級の見本市にジャパンパビリオン設置-

(ベルギー、日本)

ブリュッセル発

2017年06月21日

世界最大級の水産品見本市「シーフード・エキスポ・グローバル(SEG)」が4月25~27日にベルギー・ブリュッセルで開催された。多数の日本企業が参加したジャパンパビリオンでは、すしの実演やマグロの解体ショーのほか、ベルギーのシェフや料理関連メディアを対象としたイベントを行い、輸入業者に加え専門家やメディア関係者らにも日本の水産品をアピールした。

すしの実演やマグロの解体ショーで集客

ブリュッセルで4月25~27日に開催された水産見本市シーフード・エキスポ・グローバル(SEG)は、来場者数や出展者数、会場面積ともに世界最大級の規模を誇る。今回は世界79ヵ国・地域から1,856社が出展した。ジェトロはEU向け水産品輸出の拡大を狙う日本企業を募り、4回目となるジャパンパビリオンを設置、10の日本企業・団体が出展した(表1参照)。

表1 ジャパンパビリオンに出展した企業・団体および出展品目
企業・団体名 出展品目
水産物・水産加工品輸出拡大協議会* ブリ、マダイ、アジ、サバ、練り製品、ホタテ
True World Japan ハマチ、深海マダイ、冷凍ホタテ貝柱、クロマグロ
紀文食品 水産練り製品
和田久 昆布、かつお節
森松水産冷凍 ハマチ、マダイ
カネク* 加工わさび、ゆず関連商品
アスラポート・ダイニング 生・冷凍ハマチ、冷凍ホタテ、和牛、のり、その他日本産品
金印物産 加工わさび、加工ゆず
西本貿易 冷凍ハマチ、ホタテおよびすし関連商材(のり、ワサビなど)
ノースイ* 冷凍のり

(注)*は新規出展。
(出所)各種資料

ジャパンパビリオンでは例年どおり、商談促進のため日本産の水産品を味わってもらい、毎年好評のすしのデモンストレーションやマグロの解体ショーを行うことで輸入業者やバイヤーの来場を呼び掛けた。また新しい試みとして、ベルギーのシェフや料理関連メディアを招待し、パビリオンに常駐しているベルギーのフードコーディネーターがジャパンパビリオン内の各ブースの商品を解説するツアーや、日本酒と刺し身やすしなどの試食イベントを行った。輸入業者やバイヤーに大きな影響を与えるシェフや現地のテレビや雑誌などを通じて一般消費者にも日本の水産品を幅広くアピールすることを狙いとした。

 写真 毎年好評のマグロの解体ショーに集まった来場者(ジェトロ撮影)
写真 ジャパンパビリオンの各ブースを回るメディア関係者(ジェトロ撮影)

今回初めてジャパンパビリオンに出展した企業は、欧州での日本食ブームを背景に、すしに欠かせないのりに加え、水産加工品ではないワサビやユズなどの需要も増加傾向にあるため、現地の卸業者やバイヤーに同社製品の高品質の理由や味の違いを直接説明し、宣伝する機会にしようと参加した。

同社は、欧州市場に商品をアピールする際には工夫も必要だという。例えば、ワサビの利用はすしに限定されがちだが、クリームチーズと混ぜてビスケットなどに付けるソースにするなど、現地の人が受け入れやすい使い方を示すことも重要だとのことだ。

日本の財務省統計によると、日本産のワサビを含む混合調味料類やのりのEU向け輸出額は着実に増えている(表2参照)。

表2 ワサビを含むその他の混合調味料、のりのEU向け輸出統計(単位:100万円)
品目 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
ワサビを含むその他の混合調味料 1,444 1,551 1,725 1,743 2,190
焼きのりおよび味付けのり 324 445 480 576 683

(注)各品目のHSコードは、その他の混合調味料(210390900)、焼きのりおよび味付けのり(210390100)を使用。
(出所)財務省統計

特にワサビやユズの関連商品は水産加工品ではないため、EU向け輸出に必要な対EU輸出水産食品取り扱い施設のための認定(EU・HACCP)が不要で、業界ではさらなる輸出拡大を見込んでいる。

(大中登紀子)

(ベルギー、日本)

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