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「アイルランドの視点から見るEUの将来」セミナーを東京で開催

(アイルランド)

欧州ロシアCIS課

2017年05月02日

 ジェトロは3月16日、在日アイルランド大使館、アイルランド政府産業開発庁と共に、パスカル・ドノフー経済再生・公共支出改革相の来日に合わせたセミナーを東京で開催した。英国のEU離脱(ブレグジット)に対する同国の対応に関心が集まる中、日本の企業関係者約70人が参加し、質疑応答ではドノフー氏から丁寧な説明を受けた。

ブレグジットには競争力重視政策と堅実な公共財政管理で対処

冒頭あいさつをしたジェトロの赤星康副理事長は、アイルランドは優れた学術研究機関や政府の積極的な企業誘致政策のほか、米国や英国との経済関係の強さが背景にあり、日系企業にとって重要な進出先だ、と述べた。その上で、同国が英国のEU離脱にどのように対応し、ビジネス拠点としての魅力を維持・発展させていくかは大きな関心事だとした。

ドノフー経済再生・公共支出改革相は「アイルランドの視点から見るEUの将来~ブレグジットの先にあるもの~」と題する基調講演で、EU加盟によってアイルランドが大きな恩恵を受けたことを強調し、EUの支援による北アイルランドの和平プロセスの重要性に言及した。英国のEU離脱交渉でのアイルランドにとっての優先事項として、貿易・経済への影響の抑制、北アイルランドの和平プロセスの擁護、アイルランド・英国間の共通旅行区域(CTA)の維持などを挙げた。アイルランドはEU加盟国の中で、英国のEU離脱による経済的な影響を最も被る可能性の高い国だが、過去数年にわたる堅実な経済財政政策を背景に経済は堅調な回復基調にあるとし、競争力重視の政策と堅実な公共財政管理でブレグジットに対処していくとした。2017年に外交関係樹立60周年を迎える日本については、アジア最大の対アイルランド投資国で、人権、法の支配などの価値観を共有する国として引き続き関係を重視するとし、日EU経済連携協定(EPA)の早期締結への支持を表明した。

ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の田中晋課長は、ジェトロが在欧州日系企業に対して2016年9~10月に実施した調査結果を紹介。2014年以降、アイルランド経済がユーロ圏全体を上回る経済成長を遂げていることを背景に、在アイルランド日系企業の営業利益見通しは好調で、2015年実績と比較した2016年の営業利益見込み、2016年と比較した2017年の営業利益見込みはともに、「改善」と回答した企業の割合が欧州全体よりも高かったと説明した。今後1~2年の事業展開の方向性で「拡大」を選択した在アイルランド日系製造業のうち、「生産(高付加価値品)」「研究開発」を拡大すると選択した企業はそれぞれ75%(2015年調査:60%)と50%(60%)で、これらの項目に対する回答企業の割合を所在国別にみるとどちらも欧州の中で最も高く、アイルランドの強みとする部分に合致する結果だと指摘した。英国のEU離脱を受けて現在または今後、対応を検討していく可能性のある内容については、「規制、法制度の変更への対応」と回答した企業の割合が最も多く、最大の輸入元で、第2位の輸出先である英国との貿易関係が強いことの裏返しでもあると解説した。

在英日系企業の対応では金融業が先行

アイルランド政府産業開発庁のデレク・フィッツジェラルド日本代表は、アイルランドの投資環境と日本企業のビジネスチャンスについて説明した。多くの外資系企業は欧州全体や欧州・中東・アフリカ(EMEA)を視野にアイルランドで事業活動を行っているとし、アイルランドの強みがある情報通信技術(ICT)産業、ライフサイエンス産業、金融サービス業を紹介。ブレグジットに向けた在英日系企業の動向については、ライフサイエンス、ICT、製造業などが情報収集を踏まえ、具体的な場合を想定したシナリオ構築をしている段階だと説明した。一方で、金融業では、単一パスポート制度を英国以外のEU加盟国で取得し直す場合に1年ほどかかることが見込まれ、今後の方向性を2017年夏ごろまでに決定しなければならないため、アイルランドの規制当局とのやりとりやオフィス物件の見学などの精査の段階にまで進んでいる企業があることを指摘した。

質疑応答では、英国のEU離脱の影響を中心に、各質問者に対しドノフー氏から丁寧な説明があった。北アイルランドとの間に新たな国境をつくらないことや、移行協定の必要性、島国で移民が少ないために反グローバリズムの機運が高まらないことなどを、同氏が回答した。

(深谷薫)

(アイルランド)

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