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相殺関税適用にカナダ連邦政府は反発-米加針葉樹紛争再燃(2)-

(カナダ、米国)

トロント発

2017年05月16日

 米商務省のカナダ産針葉樹材に対する相殺関税適用の仮決定に対し、カナダ連邦政府は非難声明を発表し、WTOや北米自由貿易協定(NAFTA)への提訴を通じて対抗していく構えを示しており、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州では炭素税適用による独自の対抗措置が検討されている。また、全米住宅建築業者協会も米国経済への負荷が大きいとして反対を表明している。連載の後編。



<全米住宅建築業者協会も反対を表明>

 米商務省の発表に対し、カナダのジム・カー天然資源相とクリスティア・フリーランド外相は連名で「カナダ連邦政府は米商務省の不公平で懲罰的な関税適用の決定に強く反対する。(米商務省の)非難には根拠がなく事実無根だ」と強い調子の声明を発表し、WTOやNAFTAへの提訴を通じて対抗していく姿勢を明確にした(カナダ連邦政府プレスリリース4月24日付)。

 

 さらに、全米住宅建築業者協会のグランジャー・マクドナルド会長も「2016年に米国で使用された針葉樹材の33%は輸入しており、その95%以上はカナダからの輸入によるものだ。(関税適用の発表を行った)ウィルバー・ロス米商務長官の『カナダ産輸入針葉樹材への関税適用は米国住宅コストにほとんど影響しない』というコメントには失礼ながら同意しかねる。もし、2017年を通して20%の関税適用が行われれば、米国の労働者は総額で5億ドル近い給与・賃金を失い、米政府は3億5,000万ドルの税収、そして8,200人分のフルタイム雇用を失う計算になる。製材価格は関税導入を視野に入れて年初から既に22%上昇しており、新築戸建のコストは1軒当たり3,600ドル上昇している」と関税導入に難色を示した(全米住宅建築業者協会プレスリリース4月25日付)。

 

<BC州は米国産燃料用石炭の輸送に炭素税の適用を検討>

 カナダ林産業審議会によると、林業はBC州の主要産業で、140を超える地方行政区で6万3,000人以上の雇用を創出している。米国は同州産針葉樹材の最大の顧客で、2016年の輸出額は47億カナダ・ドル(約3,900億円、Cドル、1Cドル=約83円)に上り、カナダの米国向け針葉樹材輸出額(77億Cドル)の61.2%を占めるという。

 

 米国の相殺関税適用への対抗措置として、クリスティ・クラークBC州首相は州議会選挙(5月9日実施)に向けた遊説先で、同州の港からの燃料用石炭の出荷禁止を求める書簡をトルドー首相に送付したことを公表した(BC州自由党プレスリリース4月26日付)。米国産の燃料用石炭が陸路でBC州へ輸送され、同州の港から韓国や日本に出荷されており、BC州は米国産燃料用石炭の重要な輸出の拠点となっている。エネルギー系シンクタンクのサイトライン研究所クラーク・ウィリアムスデリー氏は「米石炭業界では長年にわたって米西海岸での石炭輸出の拡張工事を提案してきたが、いずれも(環境アセスメントなどの理由で)失敗に終わっており、米西部の石炭は事実上、全てBC州を経由して輸出されている」という(「カルガリー・ヘラルド」紙4月26日)。

 

 さらに、連邦政府が燃料用石炭の出荷禁止に踏み切らず、5月9日のBC州議会選挙で自由党が勝利した場合には、BC州単独で州法の「温室効果ガス産業報告および管理法」の基に新規則を制定し、BC州の港に輸送される燃料用石炭1トン当たり70Cドルの炭素税を課すことを検討していることを明らかにしていた(BC州自由党プレスリリース5月1日付)。

 

 このクラークBC州首相の提案では、米国の燃料用石炭のみを排除することはNAFTA違反となるため検討されていない。BC州産の石炭は精鉄に必要な冶金(やきん)用石炭が中心のため炭素税の適用は受けないが、燃料用石炭はアルバータ州からもBC州内に輸送されている。BC州首相の発表を受け、レイチェル・ノトリー・アルバータ州首相は「提案には無論反対するし、クラークBC州首相に(炭素税導入の)行使権限があるとは思えない」と応酬した(CBCニュース5月3日)。

 

 なお、BC州議会選挙で自由党は勝利したものの、少数与党となったため提案が実行に移されるかどうかは不透明だ。

 

(飯田洋子)


(カナダ、米国)

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