エンジニアリング分野の展示会にブースを出展-ジェトロ、対日投資を呼び掛け-

(インド)

チェンナイ発

2017年04月27日

 インドの機械輸出促進機構(EEPC:Engineering Export Promotion Council)は3月16~18日、インド南部タミル・ナドゥ(TN)州チェンナイ・トレードセンターでエンジニアリング展示商談会(IESS:International Engineering Sourcing Show)を開催した。ジェトロは同展示会内にブースを出展し、対日投資を呼び掛けた。インド企業の日本向け投資は限定的だが、ジェトロは日本にインド人誘致専門員を配置するなどして、対日投資誘致活動を積極化している。

インド最大級の展示会がチェンナイで開催

IESSは自動車や工作機械などのエンジニアリング分野の技術向上や輸出促進を目的とした、インド最大級のエンジニアリング分野の展示商談会だ。2012年から毎年開催されており、今回で6回目となる。主催者のEEPCによると、自動車部品、産業電子機器、金属製品などのエンジニアリング関連企業302社が出展し、約1万人が来場した。

EEPCは、機械や自動車関連などインド製造業の製品輸出促進を目的として、1955年に設立された業界団体で、ニューデリーに本部、ムンバイ、チェンナイ、コルカタなど国内7ヵ所に地域拠点を持つ。現在、国内外の企業約1万3,000社が会員になっている。

写真 展示会場の様子(ジェトロ撮影)

対日投資の潜在企業の発掘に取り組む

日本政府は「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(2013年6月14日閣議決定)において、「2020 年までに外国企業の対内直接投資残高を現在の2倍の35 兆円に拡大する」という目標を掲げており、ジェトロは在外公館などと連携し、対日投資に関する外国企業への働き掛けや情報発信など、海外での誘致案件創出活動に取り組んでいる。

IESSにはインド全土から海外ビジネスを考える多くのエンジニアリング関連企業が出展することから、対日投資を呼び掛ける機会として、ジェトロは展示会場にブースを設置し、日本の投資環境や対日投資支援サービスを紹介した。ジェトロブースへの来場者からは、「二輪車、三輪車向けのブレーキ関連部品を製造する日本企業との合弁に関心がある」(自動車関連部品製造)、「日本での拠点設立に興味を持った。詳細な情報を入手したい」(自動車関連エンジニアリング)など、対日投資に対する積極的なコメントが寄せられた。

写真 ジェトロブースの様子(ジェトロ撮影)

また、併催された「グローバル・インベストメント・フォーラム」のセッションでは、ジェトロ・チェンナイ事務所がジェトロの対日投資関連サービスについて説明。日本の投資環境の魅力として、(1)日本経済が復興しつつあること、(2)洗練された市場があること、(3)イノベーション拠点があること、(4)各種インフラが高い水準で整っていること、(5)快適な住環境があること、の5つを挙げ、チェンナイ企業2社の日本進出事例を紹介した。

写真 「グローバル・インベストメント・フォーラム」セッション(ジェトロ撮影)

依然として少ないインドの対日投資案件

インド準備銀行(RBI)が公表したデータに基づく2015年のインド企業の対外直接投資額は約225億ドル。国別ではシンガポール、モーリシャス、米国、オランダ、スイスが上位を占め、この5ヵ国だけで全体の7割に達する。日本への投資額は2,700万ドルで、投資総額に占めるシェアはわずか0.1%だ。日本向け投資案件の主な業種は、金融やITなどのサービス業、製造業、エンジニアリングなどだ。

ジェトロは、インド企業の対日投資を促進するため、2016年10月からジェトロ・ベンガルール事務所のインド人職員を本部(東京)の対日投資部の業務に従事させている。投資意欲のあるインド企業に対する日本の投資環境についての説明や、既に日本に進出しているインド企業の2次投資案件のサポートなどを行っている。

(磯崎静香、A・P・スリクマール)

(インド)

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