政府保証枠を拡大し、外国投融資をつなぎ留め-2017年投資プログラム発表-

(ウズベキスタン)

タシケント発

2017年01月26日

 政府は2017年の政府保証付き外国投融資の受け入れ枠を、前年に引き続き拡大する。資源価格の下落、主要貿易相手国の経済減速などを受け、2017年投資プログラムでは政府保証枠を前年比38.5%増やして外国投融資をつなぎ留めようとしている。

<投資総額は前年比23.0%増を見込む>

 20161223日発表の大統領決定PP2697号「2017年投資プログラムについて」によると、2017年の投資総額(計画ベース)は前年比23.0%増の614,034億スム(約21,500億円、1スム=約0.035円)が見込まれている。このうち、政府予算など公的資金を財源とする中央集権化投資が157,0662,000万スム、民間投資などによる非中央集権化投資が456,9678,200万スムとなっている(表参照、注)。

表 ウズベキスタン投資プログラムの推移

 対外経済活動の目安となる外国投融資枠のうち、中央集権化投資の政府保証付き外国投融資は前年比38.5%増の18億5,440万ドルで、案件数は79件(前年69件)。非中央集権化投資の外国投融資は26億5,130万ドル(前年比1.9%減)、案件数120件(前年85件)となっている。

 

<資源・エネルギーが最大の受け入れ部門>

 外国投融資を部門別にみると、中央集権化投資、非中央集権化投資ともに地質・燃料エネルギー・化学・石油化学・鉄鋼分野が最大の受け入れ部門となっている。中央集権化投資に占めるこれらの部門の割合は38.6%で、金額は7億1,660万ドル(前年比42.1%増)。主な案件はトゥラクルガン火力発電所建設(円借款、外国投融資総額6億670万ドル、2017年実施計画額7,700万ドル)、ナボイ火力発電所増強(円借款、3億5,140万ドル、5,600万ドル)、アングレン火力発電所増強(中国輸出入銀行、1億4,250万ドル、4,280万ドル)、ナボイアゾト・ポリ塩化ビニール・カセイソーダ・メタノール生産複合体建設(中国輸出入銀行、3億7,380万ドル、4,600万ドル)、ナボイアゾト・アンモニア尿素肥料工場建設(国際協力銀行、5億7,700万ドル、4,550万ドル)など。非中央集権化投資では、これらの部門は19億6,670万ドル(前年比7.3%減)で74.2%を占め、案件としてはカンディム鉱床群ガス処理複合体建設(ロシアのルクオイル、外国投融資総額30億2,950万ドル、2017年実施計画額10億ドル)、シュルタン・ガス化学複合体メタンによる合成液体燃料生産(南アフリカ共和国のサソル、29億8,040万ドル、3億8,650万ドル)などがある。

 

 次に大きいのは国土公共事業・輸送・資本投資・建設分野で、中央集権化投資の28.0%、非中央集権化投資でも6.3%を占める。以下、農業水利・農業加工・消費財分野(中央集権化投資の8.1%、非中央集権化投資の4.9%)、教育・科学・青年政策・文化・情報システム・通信分野(8.4%、4.4%)、厚生・エコロジー・環境・スポーツ分野(4.5%、0.6%)と続く。

 

<ロシア・中国経済の減速でビジネス環境は悪化か>

 ドルベースでみた投資総額は年々増加しており、公共投資、民間投資ともに拡大の傾向にある。また、政府保証付き外国投融資については、民間の外国投融資受け入れを奨励し、政府保証枠を縮小させたことで2015年までは右肩下がりの傾向が続いていたが、2016年以降は拡大に転じている。資源価格の下落、ロシアや中国といった主要貿易相手国の経済減速など、ウズベキスタンを取り巻く経済環境が厳しくなりビジネス環境の悪化が懸念される中、外国投融資を引き留めようという当局の意向がうかがえる。

 

(注)政府が関与した投資は中央集権化投資、それ以外の投資は非中央集権化投資と定義される。

 

(下社学)

(ウズベキスタン)

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