小型乗用車減税を1年延長、税率は7.5%に引き上げ
(中国)
北京発
2017年01月04日
政府は、2016年末で終了予定だった排気量1.6リットル以下の小型乗用車の減税策を1年延長することを決定した。ただし、税率は5%から7.5%に引き上げられ、2018年1月からは本来の10%に戻すとしている。
<2018年1月からは本来の10%に>
財政部と国家税務総局は12月15日、「排気量1.6リットルおよびそれ以下の乗用車の車両購入税の減額徴収に関する通知」(財税[2016]136号)を発表した。2017年1月1日から12月31日まで、排気量1.6リットル以下の乗用車購入に対して、7.5%の車両購入税を徴収するとしている。減税策は2015年10月1日に導入され、2016年12月31日まで本来の10%の半分の5%が徴収されていた。2017年は2.5ポイント上昇することになる。
このほか同通知には、(1)2018年1月1日から本来の10%に戻すこと、(2)対象となる乗用車は定員9人を超えないものであること、(3)国産乗用車のみならず輸入車も対象となっていること、(4)車両購入日は「自動車販売統一領収書」または「税関関税専門納付書」など有効証票の発行日に基づき確定すること、などが記載されている。
<新車販売を押し上げる減税策>
排気量1.6リットル以下の小型乗用車の減税策は、中国の新車販売を押し上げてきた。中国自動車工業協会の最新データ(12月12日発表)によると、11月の自動車販売台数は前年同月比16.6%増の293万9,000台に達し、1~11月としても前年同期比14.1%増の2,494万8,000台で、伸び率は前年同期より10.8ポイント拡大した。このうち、減税対象となる小型乗用車は、11月に187万6,000台を売り上げ、伸び率は前年同月比20.5%となり、乗用車全体(17.2%)を上回った。中国自動車工業協会の葉盛基副秘書長は「小型乗用車の減税策は消費を刺激する効果があるのみならず、業界を先導する作用もある」と述べている(「南方日報」12月16日)。また、全国乗用車市場情報聯席会の崔東樹秘書長は「優遇策は安定成長を維持するために効果的で、7.5%の税率は期待される消費動向に合致しており、税収の損失を最小限にとどめると同時に、2017年末の減税策終了時の影響を制限でき、自動車生産・販売を安定させることができる」とした(同)。
中国自動車工業協会は2017年の見通しについて、排気量1.6リットル以下の小型車減税(5%)が2017年も延長される場合、乗用車販売台数は2,968万台、伸びは6%になり、減税が延長されなければ2,856万台、伸びは2%にとどまるとしていた(新浪財経12月16日)。減税は継続されるものの、税率が7.5%に引き上げられることを考慮すると、2017年の伸びは6%には達しないとみられる。2015年は2,460万台(4.7%増)と過去最高を更新していたが、同協会が1月に発表するとみられる2016年の実績および2017年の予測が注目される。
(趙薇、宗金建志)
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