資本財の輸入関税やIVA免除手続きを簡易・迅速化

(チリ)

サンティアゴ発

2016年12月16日

 投資促進のため2008年公布の法20269号により、資本財の輸入関税を免除する制度が導入され、2015年公布の法20848号(新投資法)が「付加価値税(IVA)法」12条B-10に加える修正により、資本財の輸入に対するIVA免除の手続きが簡易・迅速化された。日本ではまだよく知られていないと思われるこれらの制度の概要と申請方法を紹介する。

<資本財や耐久消費財を輸入に頼るチリ>

 チリの資本財輸入額は2013年以降減少傾向にあるが、201619月は前年同期比2.2%増の857,100万ドルで、輸入全体の約20%を占める(図参照)。

図 資本財輸入額(CIF)の推移

 資本財や耐久消費財を輸入に依存するチリでは、投資促進のため、2008年公布の法20269号により、資本財の輸入関税6%を免除する制度が導入された。税関ファクス通達48159号(2008710日付)によると、同制度の詳細およびその申請方法は次のとおり(表参照)。

表 資本財の輸入に適用される免税措置

 適用対象は、法18634号(198785日官報掲載)で資本財に分類され、かつ財務省令55号(200793日官報掲載)とその改定リストに記載されている資本財だ。

 

 法186342条および7条は資本財を次のとおり定義している。

○財またはサービスの生産・販売のため、直接的または間接的(空調、メンテナンスなど)に使用される機械、車両、設備、道具で、耐用年数が3年以上、CIF価格が5,291.69ドル以上のもの。輸送専用車両は最大積載量が2トンを超えるもの、または公共旅客輸送用車両以外で運転席を含め15以上の座席を有するものに限る。

 なお、上記のCIF価格の金額は、財務省令245号(2016712日官報掲載)により、201671日から適用されている金額を記した。金額は毎年更新されている。

 

 これらの資本財の部品・付属品に関しては、資本財と同時に同一書類にて輸入され、その金額が資本財の金額の10%を超えない場合に限り関税が免除される。

 

 申請に当たっては、輸入証書(DINDECLARACION DE INGRESO)に輸入申告書(DECLARACION JURADA)を添えて税関に提出する。DINの様式は、税関のウェブサイトから入手できる。輸入申告書の様式は、税関ファクス通達48159号に添付されている様式を用いる。

 

 輸入申告書には、以下の3点を明記する必要がある。

1)資本財の輸入であること(商品名、メーカー、モデル、容量、出力などを明記)。

2)徐々に摩耗または減価償却する資本財であり、耐用年数が3年を超えること。

3)財・サービスの生産または販売に直接的または間接的に使用される資本財であること。

 

<資本財輸入時のIVA19%を免除>

 関税の免除に加え、2015年公布の法20848号(新外資法)20条が「IVA法」(財務省令825号、19741231日官報掲載)12B10に加える修正により、資本財の輸入に対しIVA19%を免除する手続きが簡易・迅速化された。

 

 IVA免除の対象となる資本財は、経済省令370号(200759日官報掲載)の資本財リストに記載されているもので、500万ドル以上の対内投資プロジェクト実施のために輸入され、輸入後または環境アセスメント取得後、または国有財産省から用地のコンセッション(公共施設等運営)権を譲り受けた後、12ヵ月以内に課税・非課税・免税所得が発生する資本財となっている。

 

 同制度の適用を受けるには、財務省所定の申請書に対内投資促進庁(InvestChile)発行の投資証明書を添付して、財務省の事務当局に提出する。

 

 以前は経済省と財務省の両省で審査が行われていたため、手続きに34ヵ月程度を要していたが、2015年の改正により財務省のみで審査が行われることとなり、許可が下りるまでの期間は申請受領後、最長60日間とされた。

 

 なお、関税免除対象リスト、IVA免除対象リスト、両リストに記載されている資本財も多くあるが、一方にしか該当しないものもあるので注意が必要だ。

 

(小竹めぐみ)

(チリ)

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