超高級車の消費税に10%の上乗せ徴収を開始

(中国)

北京発

2016年12月08日

 中国政府は12月1日から、超高級車に対して、生産・輸入段階での税の徴収に加えて、小売り時に消費税10%を上乗せすると発表し、徴収を開始した。富裕層に対する合理的な消費への誘導や排出ガス削減の促進などを目的としている。

<生産・輸入時に加え小売り時にも徴収>

 財政部、国家税務総局は、1130日付で「超高級車に対して消費税を追加徴収することに関する関連事項通知」(財税[2016129号)を発表し、各地の財政・税務部門に通知した。具体的には、従来の自動車の課税対象税目の中に超高級車の分類を追加するものだ(表参照)。これまで自動車の消費税(注)は、乗用車と中・軽商用車の2分類だった。超高級車の定義は、1台当たりの小売価格が130万元以上(増値税を含まない、約2,080万円、1元=約16円)の乗用車と中・軽商用車となる。生産・輸入時における徴収に加えて、小売り時にも10%の消費税が徴収されることになる。

表 調整後の自動車消費税率表

 超高級車を消費者に販売する事業者と個人が納税者となり、小売り時の販売額(増値税を含まない)に税率(10%)を乗じたものが納税額だ。国内の自動車メーカーが消費者に直接、高級車を販売する場合は、販売額(増値税を含まない)に生産時の税率と小売り時の税率(10%)の和を乗じたものが納税額となる。

 

 同通知は121日から施行される。なお、1130日以前に販売契約済みで、まだ納車されていない場合には、納税者が契約書を持参し、主管税務機関に届け出ることで、小売り時の消費税は免除される。

 

 中国自動車流通協会輸入専業委員会の王存主任は、超高級車に該当するのはランボルギーニやロールスロイスなどの高級輸入ブランドになるとしつつ、「これらのタイプの今年の販売量は2万台前後と予測され、輸入車全体の2%だ。輸入車は乗用車市場のわずか4%を占めるにすぎない。このため、納税対象となる車の比率は低く、同政策の自動車市場全体への影響は限られる」としている(中国経済網122日)。今回の通知は事実上、超高級輸入車を対象にしたものとみられ、今後の高級輸入車に対する販売への影響が懸念されている。

 

(注)中国での「消費税」は嗜好(しこう)品や奢侈(しゃし)品などを対象とし、工場出荷や輸入の時点で課税される。

 

(宗金建志)

(中国)

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