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税務に求められる社内コンプライアンスの整備-税務と税制改正をテーマにセミナー開催-

(ベトナム)

ハノイ発

2016年08月19日

 ジェトロとベトナム日本商工会(JBAV)は7月15日、ハノイ市内で税務と税制改正をテーマとしたセミナーを開催した。ベトナムの税制は頻繁に改正されるため、当地日系企業の関心が高い。セミナーには220人が参加し、税務調査への対応の仕方などについての解説に耳を傾けた。

<自主的な修正申告で加算税回避の可能性も>

 講師を務めた日系税務会計事務所フェアコンサルティングベトナム(Fair Consulting Vietnam)ゼネラルディレクターの讃岐修治氏は、コンプライアンスの重要性ついて、次のように解説した。日頃からコンプライアンスを徹底しておくことで、税務調査を受けたとしても追徴課税されない、もしくは課税額を少なくすることができるという。

 

 例えば、ベトナムでは税務調査時に未納の税金(本税)がある場合は、過去にさかのぼって課税され、延滞税〔201671日付税制改正(法律1062016QH13)により、1日当たり0.03%〕と加算税(未納分の20%)が課せられるが、税務調査前に自主的に修正申告して納税した場合、加算税を回避できる可能性がある。

 

 社内のコンプライアンスの整備は、移転価格税制や恒久的施設認定課税、ロイヤルティーなど源泉所得税の面でも求められている。実例はまだないものの、ベトナム税務当局では現在、正式な拠点を持たずに当地で企業活動(現地法人の売掛金回収補助など、本来の役割を超えた業務)を行っている外国法人(駐在員事務所など)に対する課税を強化しようとする動きがあるからだ。

 

 また、ロイヤルティーや技術使用料など海外への移転所得についても注意が必要だ。現地法人から日本本社への移転所得が適切な金額かどうか、ベトナム税務当局では商標や特許の取得の有無などを根拠に損金算入額や算入の可否を決定する傾向がある。損金算入を否認されないためには、独立企業間取引価格を算定した根拠を文書化しておくことが重要となる。文書化したからといって課税を受けないというものではないが、文書化していない場合には、税務当局側の主張に抗弁することは極めて困難だ。これらの税務リスクを回避するためにも、税務の枠を超えたコンプライアンス体制の整備が求められている。

 

<法人所得税率が20%に引き下げ>

 讃岐氏はまた、法人所得税(CIT)、個人所得税(PIT)、付加価値税(VAT)、外国契約者税(FCT)の最新情報について解説した。税制の主な改正点と説明は次のとおり。

 

○法人所得税(CIT

 従来22%だった税率が20%に引き下げられた。

 

○個人所得税(PIT

 会社から支給される出張手当について、従来は限度額以上を課税扱いとしていたが、201511日からは、会社の規定で金額が明確になっている出張手当は全額が非課税対象となった。

 

○付加価値税(VAT

 201671日付の税制改正により、インボイス方式(12ヵ月間または4四半期連続して未控除の仕入れVATがある場合は還付申請が可能)によるVATの還付申請が認められなくなった。讃岐氏は「インボイス方式は、経費割り増しなどの排除を目的に適用要件から除外されることとなったが、現在は税制改正の移行期にあり、同方式により還付申請を行っていた企業において問題がある場合には、税務当局へ申立書を提出することにより、一定の措置が講じられる可能性がある」と指摘する。

 

○外国契約者税(FCT

 変更なし。

 

 セミナー参加者からは「移転価格税制について文書化の重要性を理解した」「ベトナムの税務全般を学ぶことができ、情報を体系的に把握することができた」といった声が多数あった。

 

 なお、これらベトナム税務に関し、ジェトロはQA形式の調査レポートをウェブサイトで公開している。

 

(伊藤恵太)

(ベトナム)

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