コロンビア・コスタリカFTAが8月1日に発効

(コロンビア、コスタリカ)

米州課

2016年07月27日

 チリのプエルトバラス市で7月1日に開催された第11回太平洋同盟首脳会議に出席するために同国を訪問したコロンビアのマリア・クラウディア・ラクトゥール商工・観光相とコスタリカのアレクサンダー・モラ貿易相が6月29日に会談し、コロンビア・コスタリカ自由貿易協定(FTA)を8月1日に発効させることで合意した。コスタリカは2014年4月に、コロンビアは2015年5月に、それぞれ国内批准手続きを終えている。

<除外品目は農畜産物が中心>

 コロンビアとコスタリカは、2012615日に2国間FTAの交渉開始で合意、同年8月に交渉を開始した。201336日に交渉を終え、同年522日に協定文書に署名した。

 

 コスタリカ貿易省によると、コロンビアはコスタリカ原産品に対して10カテゴリー(関税割当、除外・保留品目を含む)、コスタリカはコロンビア原産品に対して7カテゴリー(同)に分けて、最長で15年かけて関税を撤廃する(表参照)。

表 関税撤廃のスケジュール(カテゴリー)とタリフラインに対する割合

 関税割当品目は、コロンビアは魚用飼料と変性アルコールを、コスタリカは魚用飼料を指定している。除外品目はセンシティブな農産品や加工食品が中心で、コロンビアは牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、粉乳、チーズ、ヨーグルト、野菜、果実、コメ、花卉(かき)、砂糖、ビール、ラム酒などを、コスタリカは牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、粉乳、チーズ、バター、野菜、果実、ビールなどを指定している。また、協定発効時点では関税を維持するが、将来、コスタリカが太平洋同盟に加盟した際に見直し協議の対象となる保留品目には、主として工業品が指定されている。

 

<コスタリカの太平洋同盟への加盟交渉は進展なし>

 コスタリカは、パナマとともに太平洋同盟のオブザーバー国となっており、20135月にコロンビアのカリで行われた第7回太平洋同盟首脳会議において加盟を申請をした。プエルトバラス市で行われた第11回太平洋同盟首脳会議にはコスタリカのルイス・ギジェルモ・ソリス大統領も出席したが、進展はなかった。コスタリカ国内では、コスタリカ産業会議所など9つの経済団体が首脳会議に先立って太平洋同盟企業家評議会(CEAP)を立ち上げ、正式加盟に向け政府へのロビー活動を強化したが、農業分野の団体は加盟に反対しており、産業界の意見は割れている。

 

<中米諸国への直接投資で存在感増すコロンビア企業>

 コロンビアは、中米ではコスタリカのほかにグアテマラ(200911月発効)、エルサルバドル(20102月発効)、ホンジュラス(20103月発効)、パナマ(20139月締結、未発効)とFTAを締結している。中米諸国の主な貿易相手国は米国や中米諸国であり、コロンビアの存在感は大きくない。しかし、中米諸国への直接投資ではコロンビアは大きな存在だ。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)によると、2000年から2014年までのコロンビアの対外直接投資額の23%を中米向けが占めた。また、2000年から2015年までのコロンビアから中米諸国への直接投資の62%は買収・合併、38%がグリーンフィールド投資だ。グルポ・スーラ、グルポ・アバル、グルポ・ボリバルなど有力企業グループが積極的な事業展開を進めており、パナマ、エルサルバドルでは金融業、コスタリカでは製造業、グアテマラでは電力分野の買収案件が多い。コロンビアと中米諸国はいずれもスペイン語を母国語とし、文化的・地理的に近いことなどが、コロンビア企業による中米投資が増えている背景にある、とECLACは分析している。

 

(西澤裕介)

(コロンビア、コスタリカ)

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