後継首相を目指し保守党党首選に5人が立候補-最大野党の労働党でも党首選の可能性高まる-

(英国)

ロンドン発

2016年07月04日

 デービッド・キャメロン首相の辞意表明を受けて、EU残留派のテレーザ・メイ内相、離脱派の中核として活動したマイケル・ゴーブ法相ら5人が6月30日、与党・保守党の党首選挙に立候補した。下院議員による投票で候補を2人に絞った後、全国の党員による郵便投票を経て9月9日までに新党首を選出する。一方、野党・労働党では、EU残留に向けた活動が不十分だったとしてジェレミー・コービン党首に辞任要求が出ていたが、同氏が応じなかったことから、党首選になる可能性が高まっている。

<ジョンソン前ロンドン市長は見送り>

 保守党の党首選に立候補を表明したのは、EU残留派のメイ内相、離脱派の中核として活動したゴーブ法相、スティーブン・クラブ労働・年金相(残留派)、アンドレア・レッドソム閣外相(エネルギー担当、離脱派)、リアム・フォックス前国防相(離脱派)。

 

 一方、EU離脱運動の先頭に立っていたことから、最有力候補の1人とされてきたボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、立候補締め切りの630日正午直前に記者会見で、「保守党のリーダーは自分には向かない」と述べ、党首選への立候補を見送ると発表した。

 

 保守党は下院で過半数の議席を占めており、次の党首が新首相に選ばれることになる。党首選のスケジュールは、7月上旬までに下院の保守党議員330人による投票で候補者を2人に絞り、その後、全国約15万人の党員による郵便投票で99日までに後継者を選出し、102日の党大会で正式に党首に就任する。

 

<辞任拒否の労働党党首に対抗の動き>

 一方、最大野党の労働党でも党首選が行われる可能性が高まってきた。党としてEU残留支持を打ち出しておきながら、コービン党首が残留に向けた活動に消極的で、みすみす離脱を招いてしまったとの理由で、国民投票の直後から党内の下院議員の間で批判が続出したからだ。コービン党首の辞任を求めて、影の内閣のメンバー20人超を含む50人以上の議員が党の役職を辞任している。労働党は628日午後に、下院議員によるコービン党首に対する不信任動議を17240の大差で可決した。

 

 しかし、コービン党首は党首にとどまる考えを表明している。20159月の党首選で全党員の59.5%の票を得て選出された同党首には、労働組合員などを中心とした党員の根強い支持があるからだ。

 

 こうした状況の中、コービン党首の辞任を引き出すことは無理との判断から、629日に影の内閣の首席大臣兼ビジネス・イノベーション・職業技能相を務めていたアンジェラ・イーグル下院議員が、党首選に立候補(注)することを検討していることを明らかにした。

 

(注)労働党に党首が存在し、それに対抗して党首選に立候補するには同党選出の下院議員の20%(党首がいない場合は15%)の推薦を集めることが必要。資格を得た候補者の中から、郵便または電子投票による選出で50%以上の支持率を得た候補者が当選する。50%に足る候補者がいない場合には、最下位の候補者を除く候補者に対して再び投票が行われる。

 

(岩井晴美)

(英国)

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