小売りや食品分野で外資規制を緩和

(インド)

ニューデリー発

2016年07月07日

 政府は6月24日、新たな外資規制緩和を発表した。革新的な技術を利用した製品のシングルブランド小売りにおける調達要件の緩和や、インドで調達・加工される食品の小売り開放など、外資企業にとってインド市場参入の新たな可能性が示された。

<現地調達要件を見直し>

 商工省産業政策振興局(DIPP)は、外国直接投資政策(67日施行版)の見直しを発表した。外資比率が51%を超える単一ブランドを扱う小売業、いわゆるシングルブランド小売業では、「革新的な技術を利用した製品で、インドでの現地調達が不可能な製品」の場合、「1号店開業の年の41日から5年間は取扱商品の平均現地調達額が全調達額の30%、6年目からは毎年30%を達成する」という現地調達要件を、1号店開業から3年間は免除し、4年目から適用するとした。

 

 なお、シングルブランド小売業の外資出資比率は制度上100%まで認められるものの、自動認可ルートは49%までとなっており、これを超える場合には政府承認が必要だ。

 

<防衛や製薬などの製造業も緩和>

 また、製造業者に対してはこれまでも自社製品の卸売りおよび電子商取引を含む小売りが認められていたが、今回はこれにインドで製造・調達された食品が加わり、インドで調達・加工する食品加工業者はeコマースを含む小売りが可能になった。ただし申請については、政府承認前にDIPPの調査が必要となる。この改定に関し、「エコノミック・タイムズ」紙(621日)は、マーケットプレイス型(注1)でインド展開している米国電子商取引大手のアマゾンや、卸売りで参入しているスーパーマーケットチェーンのウォルマートの食品小売り展開の可能性を報じている。

 

 そのほか、発表された主な改定項目は以下のとおり。

○防衛分野における100%外資出資の用件の1つだった「革新的な技術」が除外された。

○航空分野の定期便サービスなどに関する投資の外資出資制限が、49%から100%に引き上げられた。

○製薬分野のブラウンフィールド投資(注2)は外資による100%出資が認められているが、政府承認が必要だったところ、外資出資比率74%以下は自動ルートでの承認が可能となった。

 

 改定の詳細はDIPPプレスリースを参照。

 

(注1)他の販売業者に対してオンラインの売買プラットフォームを提供し、電子商取引を行う形態。

(注2)既存企業への投資。

 

(古屋礼子)

(インド)

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