日本製などの水加ヒドラジンへのAD措置終了

(中国)

北京発

2016年06月22日

 中国商務部は6月16日、日本製などの水加ヒドラジンに対するサンセットレビューを行わず、アンチダンピング(AD)措置を17日から取りやめると発表した(商務部公告2016年第27号)。

<米国、フランス、韓国産も対象>

 今回、サンセットレビュー(注1)の対象となっていたのは、日本、米国、フランスおよび韓国を原産地とする水加ヒドラジン(HSコード:28251010、英文名称:hydrazine hydrate、無機化合物の一種でロケットや航空機の燃料などに用いられる)。

 

 商務部は同製品に対するAD問題で、「クロ」の最終決定を下し、2005617日から5年の課税期間で、ダンピングマージンを徴収する形式によりAD措置を取っていた(商務部公告2005年第36号)。同措置の期限前に、商務部は中国AD条例第48条の規定(注2)に基づき、同製品に対するサンセットレビューを実施。その結果、2011617日から課税期間5年で、AD措置を継続することを発表していた(商務部公告2011年第32号)。

 

 商務部は2015109日、AD措置の撤廃がダンピング、損害の存続または再発をもたらす可能性がある場合、同措置終了の60日前までに書面で見直しを申請するよう、公告した(商務部公告2015年第40号)。

 

 商務部は公告の期限内に申請がなかったことから、サンセットレビューを行わないことを決定、616日限りでAD措置を終了することにした。

 

 公告の内容は商務部のウェサイトで閲覧できる。

 

(注1WTOAD協定では、AD措置は原則5年で撤廃することになっているが、当局が調査の結果、AD税の撤廃がダンピングまたは損害の存続または再発をもたらす可能性があると判断する場合には、AD措置を継続できるとしている。サンセットレビューはこの際に行われる調査のことを指す。

(注2)中国AD条例第48条によると、「AD税の賦課期間および価格に関する約束の履行期間は5年を超えない。ただし、見直しを経てAD税賦課の撤廃がダンピングおよび損害の存続または再発をもたらす可能性がある旨を決定した場合には、AD税の賦課期間は、これを適宜延長することができる」としている。

 

(真家陽一)

(中国)

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