ICT分野は人件費の安さがメリット-「パレスチナ・ビジネスフォーラム」を東京で開催(2)-

(パレスチナ)

テルアビブ発

2016年04月07日

 ジェトロなどが開催した「パレスチナ・ビジネスフォーラム」報告の後編は、パレスチナ情報技術協会のヤヒヤ・アルサルカン会長の講演「パレスチナIT産業の現状・課題について」を紹介する。

<パレスチナを中東市場へのゲートウエーに>

 ヤヒヤ会長は、パレスチナ経済におけるIT産業の位置付けについて説明し、パレスチナには30歳以下の若者が労働人口の63%を占め、情報通信技術(ICT)産業はこれらの若者にチャレンジの機会を与えていると指摘した。ただし、パレスチナ市場は小さいため、外国企業はパレスチナを経由地として、他のアラブの国とのビジネスを視野に入れることを提案した。パレスチナのICT産業は、通信サービスを中心にハードウエアの販売、ソフトウエア開発の3つに大別され、これらを合わせるとGDP6%くらいを占めているという。

 

 パレスチナ中央統計局によると、2011年のパレスチナのICT市場は、関連会社が500社(前年比12.1%増)、被雇用者5,418人(23.7%増)で、生産高68,170万ドル(15.7%増)で、また人材に関しては、パレスチナの大学には13ICT学部があり、毎年3,200人の卒業生を輩出している。直接的には1万人以上、間接的には35,000人が同セクターで雇用されており、そのうち1015%が女性だという。また、中東、北アフリカ、欧州、北米の市場をよく理解しているという。米国際開発庁(USAID)のみならず、シスコシステムズ、マイクロソフト、インテル、ヒューレット・パッカード(HP)やグーグルも戦略的パートナーとしてパレスチナ企業とつながりを持っている。パレスチナ企業の半分は海外の企業とパートナーシップを構築し、企業の3割はサービスや製品を輸出している。インテル、HP、マイクロソフトは研究開発プロジェクトをパレスチナ企業と行っているという。

 

<在ドイツ日系企業とビジネスも>

 パレスチナ情報技術協会(PITA)は1999年に設立され、現在、155社の会員を擁する。2003年には同協会の関連施設として、パレスチナICTインキュベーター(PICTI)を設立して、パレスチナのICT産業育成に努めている。ヤヒヤ会長は、パレスチナのICT産業は他の産業分野よりも、外国企業にとってビジネスをするメリットがあると述べ、その理由として、(1ICT産業に従事するスタッフはほぼ全員が英語でコミュニケーションできる、(2)外国企業はパレスチナに足を運ぶ必要がなく、打ち合わせはテレビ会議で可能、(3)人件費は、欧州の3分の1から2分の1程度であること、を挙げた。ヤヒヤ会長が代表を務めるegovernmentなどのシステムソフト構築・開発を行うICT大手のジャッファ・ネットが在ドイツ日系企業と取引をしているので、日本との縁は深いと、話した。

 

(奈良弘之)

(パレスチナ)

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