広東省、イノベーション促進へ高度人材の誘致に高額の補助金

(中国)

広州発

2016年04月26日

 広東省政府は、イノベーションに基づく発展戦略の推進のため、海外専門家の広東省での短期就労を補助する計画を発表した。高度人材の雇用に補助金を支給することで誘致を促進し、広東省のイノベーション能力の向上につなげるものだ。対象となる専門家はノーベル賞クラスの第1類から、先端製造業や現代サービス業などに関する高度人材の第3類までに分類される。申請に基づき、広東省政府から雇用企業に対して最大40万元(約680万円、1元=約17円)の補助金(地域によってはさらなる上乗せ措置あり)が支給される。

<ノーベル賞級の人材も対象に>

 広東省政府は近年、イノベーションに基づく発展戦略である「創新駆動発展戦略」を推進している。中国共産党広東省委員会の機関紙「南方日報」によると、広東省政府は同戦略の推進のため「『珠江人材計画』海外専門家来粤短期就労補助計画(試行)」(以下、補助計画)を発表した。イノベーション推進に必要となる高度人材について、雇用企業に補助金を支給することで、広東省での就業を促進する狙いだ。対象となる専門家は第1類から第3類まで分類されている(表1参照)。

表1 補助計画における専門家の分類

<先端水準の知的財産権やコア技術が必要>

 対象となる専門家は、上記に加え、国際的な先端水準の知的財産権を有する、産業部分のカギとなるコア技術を持つ、などの9つの条件のうちいずれかを満たす必要がある(表2参照)。

表2 補助計画の専門家が共通で満たす必要のある条件(以下のいずれか)

 条件を満たした専門家を雇用した企業には、分類と就労日数などに基づき補助金が支給される(表3参照)。

表3 補助計画における補助基準

 申請企業は法人もしくは政府系の事業組織であることが必要で、個人事業者などは対象外となっている。企業はまず専門家に対する関連費用を立て替え、プロセスに沿って補助金を申請する。広東省政府は申請について審査を行い、ウェブサイトで結果を公表した後、異議が寄せられなければ、前年分について補助金を支給する。

 

<博士号取得者の研究事業にも補助>

 なお、広東省政府は併せて「『珠江人材計画』海外青年人材引進計画」も発表し、外国(香港、マカオ、台湾を含む)籍、もしくは留学経験のある中国籍の博士号取得者による研究業務に対し、毎年50人程度に最大60万元の費用助成を行うとした。35歳以下、世界大学ランキング200位以内(中国内の大学を除く)における博士号取得など、4つの条件を満たす必要がある。

 

(黄冬瑩、河野円洋)

(中国)

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