自動車リサイクル税の導入や増税相次ぐ

(カザフスタン、ベラルーシ、ロシア)

モスクワ発

2016年03月24日

 カザフスタンで1月から、自動車・同部品の国内生産や輸入に対してリサイクル税が導入された。ベラルーシでは2月からリサイクル税が引き上げられ、個人の自動車輸入の税額は8.25倍になった。

WTO加盟に伴う関税引き下げを穴埋め>

 カザフスタンで11日、法第407V号「カザフスタンにおける産業・イノベーション関連法令の変更と追加について」(20151117日付)が施行された。これにより、カザフスタン国内で生産を行う企業および輸入事業者に生産、輸入した製品のスクラップを収集し、リサイクルあるいは廃棄することが義務付けられることになった。対象品目は自動車(乗用車、トラック、バスなど)と部品(タイヤ、蓄電池、モーター潤滑油など)で、2015124日付エネルギー相代行規定第695号「製造業者および輸入業者の拡大義務が適用される製品リストの承認について」で規定されている。

 

 さらに、製造業者および輸入業者は、2016127日付政府決定第28号「製造業者(輸入業者)の拡大義務履行規則の承認について」に基づき、自動車などの出荷・輸入の際にリサイクル税を支払うことになった。リサイクル税の支払いは政府が定める「拡大義務オペレーター」との契約締結に基づいて行われる。現在、オペレーターとして「Operator ROP」(ウェブサイトはカザフ語・ロシア語)が認定されている。

 

 リサイクル税の計算方法は20151225日付エネルギー相規定第762号「収集、輸送、加工、廃棄、使用、および(または)リサイクルに係る支払額計算方法の承認について」で規定されている。リサイクル税の基礎税額は50MRP(各種給付、社会保障などの計算に際し利用される計算指数)で、テンゲに換算すると106,050テンゲ〔1MRP2,121テンゲ(2016年)、約34,000円、1テンゲ=約0.32円〕となる。税額はロシアと同様に、基礎税額×自動車の馬力および車種による係数〔乗用車:3.0(排気量1000cc以下)~23.03000cc超)、トラック:3.0(総重量2.5トン以下)~17.050トン以下)、バス:6.0(排気量2500cc以下)~20.01cc超)〕に基づき算出される。なお、ロシアのリサイクル税制度と異なり、中古車に対する特別税額は規定されていない。

 

 リサイクル税導入の理由について、投資・発展省のアルベルト・ラウ次官は、環境問題が一番の理由だとしつつ、カザフスタンのWTO加盟に伴う輸入関税の引き下げを補う措置でもある、と述べた(インターネット紙「Zakon.kz115日)。

 

<自動車の個人輸入の税額は8.25倍に>

 ベラルーシでは、130日付ベラルーシ閣僚会議決定第74号「ベラルーシ閣僚会議決定第172号(2014227日付)の改正および修正について」により、国内で生産されるか個人または法人により輸入される自動車(乗用車、トラックなど)に対するリサイクル税が24日から引き上げられた。閣僚会議のウェブサイトに掲載されたリサイクル税引き上げの補足説明(22日付)によると、法人輸入に対するリサイクル税額は1.65倍、個人輸入の場合は8.25倍になる。また、今回の法改正は歳入増とリサイクル税の支払い制度の簡素化のほか、ユーラシア経済連合(EEU)加盟国からの自動車輸入規制措置の一環とも述べている。

 

 ベラルーシのリサイクル税は2014年に導入されたが、ロシアの税額に連動し、支払日のベラルーシ中央銀行の対ロシア・ルーブルのレートで換算され、ベラルーシ・ルーブルで支払うシステムとなっていた。今回の改正により、税額の計算と支払い手続きが簡素化され、リサイクル税はベラルーシ・ルーブルでの固定額となった。

 

(エカテリーナ・クラエワ)

(カザフスタン、ベラルーシ、ロシア)

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