自動車部品で義務認証が必要なのは12品目-中南米における基準・認証制度の動向-

(ブラジル)

サンパウロ発

2016年01月29日

 国家度量衡・規格・工業品質院(INMETRO)による適合性評価は自主認証と義務認証に分けられ、認証プロセスも異なる。義務認証の製品が12品目ある自動車部品を例に、認証取得のプロセスをまとめた。ブラジルにおける基準・認証制度の動向に関する報告の後編。

<認証取得義務ある製品は省令の確認が重要>

 INMETROによる適合性評価は、企業が自主的に認証を得る製品(自主認証)と義務として認証を取得しなければならない製品(義務認証)に分けられる。自動車部品を例にとると、201511月時点で義務認証が必要なのは12品目ある(添付資料参照)。品目によっては認証の要件が細かく規定されているものもあり、該当する製品がある場合は各省令を確認することが重要だ。また、義務認証はアフターマーケットのみを対象とするケースもある。アフターマーケットとは、正規ディーラーに販売される主に修理用の製品と、部品販売店・修理店などを通じて最終消費者に販売される製品の2つを指す。

 

 一般的に、認証取得の申請は、当該製品の認証を初めて取得する(初回評価)、既に得ている認証を保持するための手続き(保持評価)、さらに一度失効した認証を再度有効にする手続き(再認証評価)の3種類ある。

 

 技術規格に適合しているかどうかの検査、審査、監査は、サンプル検査や全量検査など9種類に分類され、どの組み合わせで行われるかは省令で定められている(INMETROウェブサイトの一覧表にも掲載されている)。

 

 自動車部品の場合は、「製造者(工場)と市場に出回った製品からサンプリングと品目試験を行う検査」と、「工場の生産過程における品質管理ならびに流通先および工場で抽出されたサンプルを用いたチェック検査」、「1ロットの製品からサンプルを抽出して行う検査」のいずれかになっている。

 

 適合性評価はINMETROが直接行うのではなく、INMETROから信任された第三者機関である製品認証機関(OCP)が実施する。品目により対応するOCPが異なる(INMETROウェサイトで対応するOCPの検索が可能)。OCP70機関以上あり、ブラジル企業・団体、あるいはブラジルに拠点を置く海外企業・団体となっている。日本に拠点を有する機関もあり、日本企業の製品の認証経験を有している。どのOCPによる認証を受けるかは申請者が自由に選択することができる。所要期間や費用は各OCPにより異なり、自動車部品の場合、認証取得にかかる期間は45日~6ヵ月、費用も1製品当たり1万~2万レアル(約29万~58万円、1レアル=約29円)と幅がある。

 

<不適格項目があった場合は改善策を提出>

 品目試験などで不適格項目があった場合、申請者とOCPとの合意に基づいた期間内で改善策を取ることができる。申請者が改善策を取らなかった場合、申請手続きは無効となるので留意が必要だ。自動車部品の場合は、申請者は30日以内に改善策を含めた報告書を提出、OCPは講じられた改善措置を確認し、申請者が提出した書類、監査や試験結果などについて分析を行う。その結果、対象製品が適合性評価基準を満たしていることが確認されれば適合証明書を発行する。証明書の有効期間は自動車部品の場合は34年となる。OCPにより証明書が発行された後、申請者は電子登録システムを通じてINMETROへの登録を行う。認証を得た後の供給者の責任として、以下の3点を順守しなければならない。

 

1.登録された全ての製品に適合性認識ラベルを貼り付ける

2.製品登録の関するINMETROの決定を順守する

3.製品に不都合がみられた場合、現行法にのっとり手立てを講じる

 

 義務認証対象製品で適合性認証ラベルの表示義務がありながら、ラベル表示なく販売した場合には、罰則(罰金の場合は100万~150万レアル)が科される可能性がある。

 

 なお、適合性認証の更新の際には一般的に、品質管理システムが引き続き維持されているか、製品の品質が技術規格に沿って保たれているかチェックをする。毎年実施するのが一般的とされている。認証書の有効期限が1年以上あっても、その間に定期的な審査を義務付けているケースもあるので注意が必要だ。

 

(辻本希世)

(ブラジル)

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