上場企業の外資保有上限を一部撤廃-投資拡大と株式市場の活性化に期待-

(ベトナム)

ハノイ事務所

2015年08月13日

 政府は6月26日、政令60号を公布し、上場企業の「外資保有割合」の上限(49%)を一部撤廃すると発表した。上場株式の取得を狙う外国人投資家にとって参入障壁の一部が取り払われる見込みで、外国からの投資拡大と株式市場の活性化に期待が広がっている。

<投資や不動産関連の外資規制を緩和>

 政府は626日、政令58号(No.582012NDCP)を改正する政令60号(No.602015NDCP)を公布した。同政令は91日から施行予定となっている。

 

 政府は外資呼び込みのための政策を積極的に進めてきた。71日には、改正投資法(No.672014QH13)および改正企業法(No.682014QH13)、改正住宅法(No.652014QH13)および改正不動産事業法(No.662014QH13)も施行されており、こうした一連の外資規制緩和の動きが早期に効果を発揮することが期待されている。

 

<レストランは100%の株式購入も可能に>

 政令60号の主な内容は以下のとおり。

 

1)対象は上場企業などの「公開会社」で、「公開会社」には上場企業以外に一定要件を満たす100人以上の株主を有する株式会社も含まれる。

 

2)「外資保有割合」とは、全ての外国人投資家あるいは外国人投資家が51%以上保有する法人が有する議決権付き株式または出資分の保有割合の合計をいう。

 

3)適用対象は以下のとおり。

a.ベトナムが加盟する国際条約において外資保有割合の上限が定められている場合には、その国際条約で定められる外資保有割合(ベトナムが加盟する国際条約とは、例えばWTO公約などを指すものと思われる。これに従えば、例えばレストランは100%まで株式の取得が可能となる)。

b.投資法および関連法令において外資保有割合が定められている場合は、その国内法において定められた外資保有割合。

c.「外国人投資家に適用される条件のある事業」で外資保有割合の具体的な定めがない場合は最大49%とする(現段階ではこの規定が具体的に何を指すか明確ではない)。

d.上記のいずれにも該当しない場合は、定款に異なる定めがない限り、外資保有割合上限は適用されない(100%取得可能)。

e.なお、「複数の事業を営んでいる場合は、最も低い割合が適用される」となっており、上場企業は複数の事業を営んでいる場合が多いので注意を要する。

 

<証券市場の育成は道半ば>

 ベトナムでは、2000年にホーチミン証券取引所、2005年にハノイ証券取引所が開設され、証券市場の育成が進められてきたが、現段階では依然小規模で、また取引自体も活発化している状態とは言い難い。両取引所の概要は以下のとおりで、これ以外にも2009年に設置されたUPCoM市場(Unlisted Public Companies market)や店頭市場も存在する。今回の規制緩和は、外資を呼び込むことによりベトナムの株式市場を活性化し、投資対象として認められる市場に発展させようとする施策の一環だ。

 

○ホーチミン証券取引所(大企業中心):上場銘柄数309724日時点)、時価総額約533億ドル(810日時点)

○ハノイ証券取引所(中小企業、社債・国債などの債権中心):上場銘柄数366724日時点)、時価総額65億ドル(810日時点)

UPCoM市場:ハノイ証券取引所に設置された未上場株式登録システム

 

 また、政府にとって懸案となっている、国有企業の民営化プロセスを加速する効果も期待されている。

 

<政令は不明な点多く施行細則を注目>

 当地市場関係者によると、株式市場活性化に向けては今回の緩和された外資保有割合上限以外にも以下のような課題が指摘されている。

 

○情報開示制度はできているものの、法令を順守していない企業があり、開示情報の信頼性が低い。

○企業のコンプライアンスやリスク管理に関する国際的な基準や習慣が一般的となっていない。

○ベトナム通貨ドンへの信頼性が低い。

 

 なお、政令60号は詳細について不明な点も多く、今後公布される施行細則を注視する必要がある。

 

(細野次郎)

(ベトナム)

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