バグダッド国際見本市、前年上回る600社が出展

(イラク)

ドバイ事務所

2015年12月21日

 第42回バグダッド国際見本市が11月初めに開催された。「イラクとシャームのイスラム国(ISIS)」などによる不安定な治安情勢が続くにもかかわらず、前年を上回る22ヵ国から600社が出展、イラクに対する関心の高さが示された。

<治安は不安定でも高い関心>

 イラク最大の総合見本市である、第42回バグダッド国際見本市が111日から10日までバグダッドで開催された。イラクでは引き続き不安定な治安情勢が続いているものの、主催者発表によると、今回の参加国数は22ヵ国と前年の20ヵ国より増加し、出展企業数も500社から約600社に増えた。

 

 111日に行われた見本市開会式の来賓あいさつで、アバディ首相は「バグダッドはこれまで以上に安全になっている。今回のバグダッド国際見本市を通じて、イラク内外でのビジネス推進を期待する。国内では石油価格下落や対ISIS対策への支出増により、財政面の課題はあるが、あらゆる改革を通じて対応する」と述べた。

 

<日本企業21社が自社製品やプロジェクトを紹介>

 ジェトロは、2012年から連続して同見本市に日本館を設置しており、今回は21社の日本企業が参加し、自動車・同部品、オフィス機器、家電などの製品や、日本食品、イラクでのプロジェクトなどを紹介した。出展者からは「現地政府やイラク企業との具体的な商談ができた」「多くの来場者があったため、日本製品をイラクでPRする貴重な機会になった」といった声が聞かれた。

 

 また、日本館では今回から新たに、現地に代理店や現地スタッフを持たない企業向けに「代理店発掘コーナー」を設置し、日本企業7社が製品やカタログの展示を行った。来場したイラク企業は日本企業とのビジネスを希望し、日本企業1社当たり平均19件の引き合いがあった。イラク企業からは「イラクでは日本に対する認知度が非常に高く、市場に出回っているトルコや中国の製品に比べて日本製品の人気は高い。代理店を探している企業があれば、ぜひコンタクトを希望したい」という声が寄せられた。

 

 日本館にはイラクの貿易相や国家投資委員会委員長ら政府関係要人も多く来場し、日本企業のイラクでのビジネスに高い期待を寄せた。

<イラン企業もイラク市場参入に意欲>

 日本以外では、イランとドイツが大規模なパビリオンを出展した。イラン館では食品や家電メーカーなどが一般消費者向けの製品を展示し、人口3,300万のイラク市場へ参入意欲をみせた。イラン西部オルーミーイェに本社を持つパクディス(PAKDIS)は、サンディス(SUNDIS)ブランドのイラン産果実飲料の展示を行った。同社担当者は「イランとイラクは地理的に隣接しており、かつ食文化も近い。イラクはあらゆるものが不足しており、ビジネスチャンスが非常に大きい」と話した。

 

 なお、2013年に大規模な出展を行った米国やフランス、トルコなどは治安情勢を懸念し、前回から参加を見合わせている。

(水野光)

(イラク)

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