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中古機械の輸入規制に年数制限を導入-原則10年以内、外国直接投資プロジェクト関連は除外-

(ベトナム)

ハノイ事務所

2015年12月03日

 科学技術省は11月13日付で、「中古機械・設備・生産ラインの輸入に関する通達23/2015/TT-BKHCN号」(通達23号)を公布した。それによると、外国直接投資(FDI)プロジェクトに関連し一定の要件を満たす場合を除き、原則として製造から10年を超えず、安全・省エネ・環境保護に関するベトナムまたはG7(先進7ヵ国)の基準に適合している場合のみ輸入が認められることとなる。同通達は2016年7月1日に施行される。

HS84類、85類に属する「中古設備」が対象>

 通達23号が201671日に施行されると、科学技術省通知2527TBBKHCN201491日から効力が停止されていた通達202014TTBKHCN号(通達20号)は失効する。通達23号の主な内容は以下のとおり。

 

○適用範囲(11項)

HSコード84類、85類に属する中古の機械・設備・技術ライン(本通達では「中古設備」と総称)

 

○主な適用除外対象(12項)

-通過・積み替え

-再輸出のための一時輸入(加工契約、投資プロジェクトの生産・施工目的での一時輸入を除く)、再輸入のための一時輸出

-外国との修理・保持サービス契約の実施

-輸出加工区・輸出加工企業からの国内引き渡し、輸出加工企業間での引き渡し

-製品品質法(052007QH12)に基づき関連省庁よりグループ2に指定された、安全性に悪影響を及ぼす可能性のある機械・設備

HSコード84.40類~84.43類に属する印刷機械・設備

 

<安全・省エネ・環境保護の基準適合が条件>

○中古設備の輸入条件(5条、61項、4項)

【一般的要求】

 現行法令に基づく安全、省エネ、環境保護に関する要求を満たすこと。

【具体的要求】

a)使用期間(製造からベトナムの港に到着するまでの期間)が10年を超えないこと。

b)ベトナム国家技術基準(QCVN)、ベトナム国家基準(TCVN)または安全、省エネおよび環境保護に関するG7各国の基準に基づき製造されたこと。

 なお(a)に関しては、管轄各省の大臣および各省担当機関の最高責任者は必要に応じて、管轄する中古設備に対して10年より短い使用期間を定め、科学技術省に通知することができる(61項、4項)。

 

FDIプロジェクトに属する場合(62項)

 外国直接投資(FDI)プロジェクト(注)に属する中古設備で、投資プロジェクト申請書類に当該中古設備のリストが記載され、投資法の規定に基づいて管轄機関によりプロジェクトが承認された場合には、61項で規定された条件は適用されない。

 

○中古部品・付属品・代替部品の輸入条件(63項)

 企業が使用している機械について、修理・代替の必要性がある時のみ、自社もしくは輸入を行う他者に委任して輸入することが認められる。

 

○中古設備の輸入手続き書類

FDIプロジェクトに属する場合】(71項)

-税関法に基づく必要書類

-輸入予定の中古設備リストを明記した、投資方針決定書または投資登録証明書の写し

FDIプロジェクト以外の場合】(72項)

-税関法に基づく必要書類

-製造年と製造基準を示す技術資料:製造企業の確認書原本1部または鑑定証明書原本1

 

○中古部品・付属品・代替部品の輸入手続き書類(91項)

-税関法に基づく必要書類

-企業が自社で使用する中古設備を修理・代替するための部品・付属品・代替部品として輸入する必要性を説明すると同時に、当該輸入が修理・代替に必要な数量・種類であり目的どおりに使用されることを誓約する文書の原本1部。

-(もしあれば)部品・付属品・代替部品の技術資料の写し1部。

-(輸入を他の企業に委任する場合)製造者からの委任状の原本1

 

<輸出時点での鑑定を奨励>

○輸出時鑑定の奨励(44項)

 企業は輸出国で中古設備の鑑定を実施することが奨励されている。ベトナムへの入港後に鑑定を実施する場合は、本通達の規定に基づいて商品を倉庫に移送することが認められている。

 

○事後鑑定を行う場合(82項)

 輸入時に必要書類が十分に整っていない場合、税関に以下の書類を提出した後で倉庫などに移送することができる。

-鑑定組織による鑑定証明書の原本1

-財政省通達38号(382015TTBTC)の別表5書式09BQHHGSQLに規定された貨物保管に係る要請文書の原本1

 企業は、貨物が倉庫などに入庫してから30営業日を超えない期間内に鑑定証明書や関連書類を提出しなければならない。保管中の中古設備は税関手続きが終了した後にのみ使用・組み立てを行うことができる。

 

○鑑定証明書(101項)

 基本的な情報のほか、結論部分に以下の内容が記載される。

a)製造年、名称、ブランド、シリアルナンバー、型式、製造者名

bQCVNTCVNまたは安全、省エネおよび環境保護に関するG7各国の基準適合性に関する結論

 なお、船積み前の鑑定証明書の有効期間は、発行から6ヵ月を超えない期間とされている(103項)。

 

○鑑定組織(102項)

a)鑑定組織には以下のものが含まれる。

-商法に基づき事業登録し、機械・設備の鑑定を業とする国内鑑定組織

-現地法規に基づき事業登録し、機械・設備の鑑定を業とする外国鑑定組織

b)鑑定組織は科学技術省に対して、名称や住所などの基本情報に加えて、外国鑑定組織の場合は所管官庁による鑑定活動許可書の公証写しおよび領事認証済みのベトナム語訳(国内鑑定組織の場合は商法に基づく事業登録証明書の公証写し)、鑑定証明書サンプルのコピーなどを送付する必要がある。

 なお、(b)に該当する情報は、科学技術省のウェブサイトにリストとして公開されることとなっている(115項)。

 

<発効日前の契約・船積みの場合は適用外>

○特例措置(13条)

 企業が製造・事業を維持するために使用期間が10年を超えた中古設備を使用する必要がある場合、企業の書類および要請に基づき、科学技術省は関係機関と協議の上で決定を行う。

 

○経過条項(15条)

 発効日(201671日)以前に売買契約が締結され、当該中古設備が船積みされた場合には、本通達の規定は適用されない。

 

<実体・手続き面で不明瞭な部分も>

 20149月に通達20号の効力が停止された後、ベトナム日本商工会(JBAV)は日本大使館やジェトロなどと連携して、年数制限ではなく残存性能に基づいた規制内容の検討や施行時期の見直しなどを、科学技術省などに対して再三働き掛けてきた。しかし、ベトナム政府は判定が容易な年数制限を選択した。他方、年数制限などの対象から外れるFDIプロジェクトについては、ドラフト段階では拡張投資の取り扱いが不明確だったが、日本側の求めにより新規のみならず拡張投資も含まれることが明らかとなった。政府として本規制がFDIの阻害要因とならないよう、一定の配慮をしたものと考えられる。

 

 しかし、通達23号では輸入条件の1つとされる安全、省エネ、環境保護に関する基準の内容について明確に規定されておらず、対象範囲や鑑定方法、申請書式なども不明瞭な部分があるため、運用面で混乱が起きるのは必至だ。さらに64項のように、各省庁により恣意(しい)的な規制が発動可能な内容も含まれており、企業にとって予見可能性が担保されない部分も残されている。今回ひとまず規制の方向性は示されたものの、本通達の規定にはあいまいな点が多く、当地日系企業からは科学技術省や税関当局に対して事前に十分確認する必要があるとの意見も出ている。

 

(注)投資方針決定対象または投資登録証明書発行対象のプロジェクトで、新規・拡張を問わない。

 

(竹内直生)

(ベトナム)

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