新しい50年に向けた「日・韓産業協力フォーラム」を開催

(日本、韓国)

中国北アジア課

2015年10月26日

 ジェトロは10月6日、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)と共催で「韓日国交正常化50周年記念:新しい50年に向かっての日・韓産業協力フォーラム」を東京都内で開催した。フォーラムは2部構成で、冒頭にジェトロ副理事長、KOTRA社長からあいさつがあった後、「韓日ビジネス協力の現状」と「新しい50年のための望ましい日韓経済協力関係」のテーマで、日韓の有識者4人が講演した。

<国交正常化50周年を記念しKOTRAと共催>

 日韓国交正常化50周年を記念したフォーラムの冒頭、ジェトロの赤星康・副理事長とKOTRAの金宰弘(キム・ジェホン)社長があいさつした。赤星副理事長は、日韓間での草の根の民間交流が広がった結果、日本市場は変わってきており、韓国製品に対する認識も大きく変化し、日本で定着する商品も出てきている、とした上で、韓国企業の日本進出を促し、両国の経済交流の拡大に向けて、ジェトロはさまざまな取り組みを展開していく、と述べた。また金社長は、日韓の産業構造が垂直から水平構造に変化してきているとして、多様な分野で互いの強みを生かし、世界市場で共に成長する必要性を強調した。

 

<互いの強みを生かしつつ長期に連携する必要>

 第1部は「韓日ビジネス協力の現状」というテーマで、サムスン電子ジャパンの高橋敏夫常務取締役、韓国三菱商事の石山博嗣社長が、これまでの日韓企業のパートナーシップや第三国への共同進出事例、また日韓企業の強みと協業の意義などについて講演した。

 

 講演の中で石山社長は、日韓の経済連携のこれまでのステップと、現在増えている第三国への日韓共同進出の事例を紹介し、日韓企業それぞれの強みと協業の意義を述べた。石山社長は協業の意義として、(1)資金調達力の強化、(2)両国政府系金融機関によるファイナンスと保険の活用、(3)リスクのシェア、(4)マーケティング力の強化、(5)長期プロジェクトの持続性強化、(6)相互補完による全体の競争力アップを挙げ、今後はライバルでありながらも、ウィン・ウィンの関係で協力していく必要がある、とした。

 

<経済関係発展のため視点の転換を提示>

 第2部は「新しい50年のための望ましい日韓経済協力関係」というテーマで、亜細亜大学アジア研究所の奥田聡教授、韓国・大邱大学経済学科の金良姫(キム・ヤンヒ)教授が、今後の日韓経済関係のカギやその考え方などについて講演した。

 

 奥田教授は、日韓間の経済格差が縮まったことにより、日韓貿易が垂直構造から水平構造へと変化していることに触れ、対韓貿易黒字が日本経済に恩恵をもたらしていることを指摘した。そして、韓国が日本市場を再認識する必要性も併せて指摘し、日韓が互いに市場開放を必要としており、クロスボーダーコストの削減が利益確保のカギとなり、そのために日韓を含む自由貿易協定(FTA)が必要だと述べた。

 

 金教授は、日韓経済関係の進展のために視点の転換が必要な時期だと述べ、日韓両国は競争と協力が共生する関係を追求できないか、といった視点を示した。また、両国の共通課題の解消・関係発展を促すため、これまでのFTA構想から一歩進んだ「日韓包括的地域統合協定(CRIA)」構想やメガFTAウインドーといった新しい構想が必要だと提案した。

(田中琳大郎)

(日本、韓国)

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