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パリ航空宇宙展で総額1,300億ドルの受注達成

(フランス)

パリ事務所

2015年08月03日

 世界最大級の航空分野の展示会「パリ国際航空宇宙展(パリ・エアショー)」が6月15~21日に、パリ郊外ル・ブルジェで開催された。前回を上回る35万人が訪れ、受注総額は1,300億ドル強に達した。

<過剰生産の懸念が浮上するも、大手機体メーカーは楽観>

 パリ国際航空宇宙展は、英国ロンドン近郊で開催される「ファンボロー国際航空ショー」と交互に隔年で開催され、今回が51回目。61518日はビジネス関係者向けで、1921日は一般に公開された。

 

 主催者のフランス航空宇宙工業会(GIFAS)は623日、出展者数と来場者数が記録を更新し大成功だった、と発表した。出展者数は48ヵ国・地域(前回2013年より4ヵ国増)からの2,303社(4%増)で、ビジネス関係の来場者は151,000人(8.6%増)、一般来場者は20万人(13.6%増)だった。

 

 同展での受注総額は1,300億ドル強に達した。うち、エアバスの受注数は421機(570億ドル)で、米国ボーイングの331機(502億ドル)を上回った。

 

 好調な航空市場だが、「ル・モンド」紙は615日、長距離航空機の過剰生産のリスクを指摘した。同紙によると、エールフランス-KLMグループのアレクサンドル・ド・ジュニアック取締役会長兼最高経営責任者(CEO)が2015年春、グループの長距離路線のユニットレベニュー(座席キロ当たり収入単価)が低下した理由を説明する際に、過剰生産に言及した。フランスのサフラン・グループのフィリップ・プティコラン取締役も611日、過剰生産の恐れは短距離・中距離航空機についてはないものの、長距離航空機にはあると発言したとしている。さらに、サフラン傘下のエンジンメーカーであるスネクマのピエール・ファーブル会長も、機体のリース会社が長距離航空機のリース期間終了後、新たなリース先を見つけるのに苦慮していると発言したという。

 

 しかし、エアバスもボーイングも、20152034年の世界の商用航空機の需要について楽観的な見通しを立てている。今後20年間の世界の需要機体数について、ボーイングは611日に38,050機(56,000億ドル相当)、エアバスも615日に32,600機(49,000億ドル相当)との予想をそれぞれ発表した。

 

<公的支援をめぐりWTO提訴合戦>

 フランスでは、航空機・宇宙飛行体は貿易黒字が2014年に約280億ドルへ拡大して最大の黒字品目となった。官民が連携して、中近東やアジア新興諸国向けの輸出や大型契約の取り付けに取り組んでいる。今回のパリ国際航空宇宙展でも、フランソワ・オランド大統領がオープニングに立ち会った。また、一般向け公開初日の619日にはマニュエル・バルス首相が来場して演説し、エアバスグループやサフランのブースを訪れた。

 

 617日に開催された閣僚評議会の議事録によると、フランスにおいて航空産業は18万人を直接雇用し、2014年に510億ユーロを売り上げ、研究開発費の1015%を占める主要産業だ。閣僚評議会では、エアバスを中心とする民間機の受注数を高レベルに保つためには研究開発へのさらなる投資が必要だとして、エアバスヘリコプターの新規ヘリコプター開発に対するフランス政府の融資を例示した。

 

 航空機開発への公的支援措置は、エアバスとボーイングが激しい受注合戦を展開する中で、競合相手からWTO協定付属書「補助金および相殺措置に関する協定(SCM)」に違反すると非難されてきた。米国は、ドイツ・フランス・スペイン・英国政府によるエアバス機の開発にかかる貸し付けなどの支援措置を協定違反だとしてWTOに訴え、WTO2011年に低利融資は違反と判断した。EU側も、米国ワシントン州によるボーイングなどへの支援措置が協定に抵触するとWTOで主張、WTO2012年に違反と判断した。さらにEU2014年末、ボーイング777X機へのワシントン州などによる税制優遇措置が協定違反だとWTOに訴えた。

 

 「レゼコー」紙は617日、ボーイングのデニス・ミューレンバーグ氏〔当時は社長兼最高執行責任者(COO)、71日からCEO〕がインタビューで、EUとエアバスはWTOが過去に下した決定を履行しておらず、また今後、欧州各国がA380neo機の開発に際して新たな支援措置を講じることを警戒しており、そうなればWTOに提訴する可能性がある、と述べたと報じた。

 

COP21に備え取り組みをアピール>

 フランスは2015年末に、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を議長国としてパリで開催することから、618日に「空から見たCOP21」と題するイベントをパリ国際航空宇宙展の中で開催した。イベントでは、ローラン・ファビウス外相やセゴレーヌ・ロワイヤル・エコロジー・持続可能開発・エネルギー相がスピーチしたほか、パリ空港公団、エールフランス-KLMグループ、GIFAS3者が、温室効果ガスの排出やエネルギー消費の削減、バイオ燃料の開発に向けた共同声明に署名した。

 

 同展では、環境に優しいエアバスの電気推進による2席の小型飛行機「E-ファン2.0(2014年12月19日記事参照)試作機も披露された。

 

(上田暁子)

(フランス)

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