FDA、輸入手続きの迅速化プログラム案を発表-第三者機関による認証が条件-
(米国)
シカゴ事務所
2015年06月18日
米食品医薬品局(FDA)は6月4日、「任意適格輸入業者プログラム(VQIP)」のガイダンス案を発表した。食品安全強化法(FSMA)が定める措置の1つで、第三者機関による認証が条件となるが、輸入時の審査時間の短縮など、輸入業者にとってのメリットが期待されるプログラムだ。ガイダンスの最終化は、このVQIPと関連が深いとされる「外国供給業者検証プログラム(FSVP)」の最終化が行われる、2015年10月になるとみられている。
<プログラム登録すればFDAが優先審査>
VQIPとは、FDAが認定する第三者監査機関(民間機関を含む)の認証を自主的に受けた外国の食品製造業者からの食品を輸入する場合に、参加料を払ってプログラム登録した輸入業者の輸入を優先的にFDAが審査する仕組みだ。輸入審査にかかる時間短縮が期待されるほか、商品のサンプル検査を求められた場合でも、輸入業者の指定する地域で受けることができるなどのメリットがある。
FDAが認定する第三者認証監査機関の詳細は、2015年10月に最終化予定のFSVPと同時に発表の予定だ。
<輸入取引実績3年以上などが要件に>
今回示されたプログラムの内容は以下のとおり。なお、現時点では案の段階であり、今後最終化に向けて変更の可能性がある点に注意が必要。
(1)参加可能な輸入業者の要件
米国での輸入取引実績が少なくとも3年以上あること。また、対象となる取扱商品や、その製造業者がFDAの輸入警告(インポートアラート)を受けているなど規制に抵触する履歴がないこと。
(2)プログラムの有効期間
毎年10月1日~翌年9月30日で、毎年更新が必要となる。
(3)輸入業者による参加料金
FDAが毎年8月1日までに参加料金(現時点では未定)をウェブサイト上で発表する。輸入業者は10月1日までに支払わなければならない。
(4)プログラムの申込期間
1月1日~5月31日の間、ウェブサイト上で申し込みを受け付ける。同年10月1日から有効となる。
(5)プログラムの申し込み方法
FDA「産業システム」ウェブサイトを通じて申し込む。参加希望者は個人のアカウントを作成し、ID、パスワードによって入力情報を管理する仕組みになる。
(6)プログラム申し込み時に求められる情報
以下の情報が求められるが、いずれも英語で準備すること。
○輸入業者の担当者名および連絡先
○輸入業者の会社名、連絡先、会社のウェブサイト、DUNS番号(注)
○当該商品を扱う外国供給業者の施設に、第三者認証監査機関が付与する監査の認証番号
○輸入業者が備えるべき文書の一例
a.会社の品質保証方針・体制に関する文書
b.会社の組織図と品質保証の責任者
c.食品安全管理体制の具体的な手続き(例えば、食品事故が生じた場合のFDAや食品製造業者への連絡体制など)
d.従業員に求める経験やトレーニングの内容
プログラムの具体的な料金が公開されていないため、輸入業者にとってメリットとの比較は難しいが、今後、米国内の輸入業者の参加意向次第では、第三者監査機関の認証の動きが世界的に拡大する可能性がある。
(注)企業信用調査会社Dun & Bradstreetから付与される9桁の企業識別番号のこと。米国の輸入業者は同社に申し込みをして自分の番号を入手する必要がある。
(伊藤大介)
(米国)
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