潜在力あるビジネスチャンスが関心集める−サンパウロでパラ州投資セミナー開催−

(ブラジル)

サンパウロ事務所

2015年04月03日

ジェトロ・サンパウロ事務所は3月17日、ブラジル日本商工会議所の協力を得て、サンパウロで「パラ州ビジネス投資セミナー」を実施した。セミナーでは、ジャテネ州知事が自らパラ州の魅力を参加者に向け発信した。パラ州の持つ幅広い分野でのビジネスチャンスとその潜在性に関心が集まった。

<農業分野での輸出拠点に>
ジェトロ・サンパウロ事務所主催の「パラ州ビジネス投資セミナー」が3月17日、ブラジル日本商工会議所の協力を得て開催された。在サンパウロ日系企業を中心に、会場の収容人数である70人余りが参加した。

パラ州はサンパウロから飛行機で約3時間半のブラジル北部に位置する。面積は国内の州で2位の広さがあり、日本の約3.3倍。州都ベレン市を中心に約780万の人口規模を持つ。また、サンパウロ州、パラナ州に次ぐ、国内3位の規模の日系人コミュニティーが存在する。産業面では、鉄鉱石、マンガン、ニッケル、銅など国内有数の鉱物資源を有し、カカオ、アサイーに代表される農作物もブラジル国内でトップクラスだ。

パラ州を中心とするアマゾン流域については、以前から世界的な鉄鉱石の産地として日本企業との関係が深かった。これに加え最近、ブラジルの穀物・農業分野への日本企業の投資も活発化している(2015年3月23日記事参照)ことから、輸出の物流拠点としての重要度も高まってきた。

<パラ州の魅力を幅広く紹介>
今回のセミナーでは、ジャネテ州知事および州政府幹部がパラ州のビジネスチャンスを幅広く紹介した。パラ州の代表的な有力分野である農業関係においては、広大な耕作可能地が残されている点や、アサイーなどの果実加工およびこれらの輸送インフラ整備、林業におけるユーカリ植林などが一例だ。また、同州の主要産業である鉱業においては、鉄鉱石、アルミニウムに比べ、歴史が浅い銅資源の有望性が紹介された。

観光長官からは、世界一美しいといわれる河川ビーチとともに雄大な自然との共存を軸にした観光、いわゆるエコツアーなどが紹介された。ブラジルの旅行業者によると、アマゾン流域の自然の魅力と、米国からの直行便があるパラ州へのアクセスの優位性を考えると、今後の可能性が期待できるとのことだ。

またジャテネ州知事は、人材育成を非常に重視しており、州の発展とイノベーションには人材育成が不可欠かつ急務だとして、日本の協力支援に期待を寄せた。

近年のブラジル経済は失速気味だが、パラ州は同州への投資が2016年までに累計1,300億レアル(約5兆円、1レアル=約38円)になると見込んでいる。2014年時点で、既に1,050億レアルに達している。

また、州政府とは異なる内容で反響が大きかったのは、現地マーケットリサーチ会社スリアナの講演だ。スリアナは、アサイーなどの果物製品や香辛料などの対日輸出事例を紹介した。また、2014年に同社と協力してブラジルイベントを開催した三越・伊勢丹ホールディングスの取り組みを説明した。参加者にとって、日本の大手百貨店が、パラ州産品を扱ったという事例は刺激になったようだ。

<ビジネスミッションへの期待>
ジャテネ州知事は、日本のビジネスパーソンにパラ州に来てもらい、その魅力を体感してほしいと訴えた。参加者からも、パラ州のビジネスチャンスが想像以上に多岐にわたることが分かり、もっと詳しく知りたいという声が聞かれた。ジェトロ・サンパウロ事務所は、2015年度事業として、パラ州へのビジネスミッション派遣を予定している。今回のセミナーでは紹介し切れなかったパラ州の魅力に触れることで、州政府要人との関係構築となる機会を提供しようとするものだ。

2015年は、日本ブラジル修好120周年という記念の年に当たり、ブラジル各地でこれを祝う行事が計画されている。大きな日系コミュニティーが存在するパラ州においても同様で、例年にも増して日本企業の訪問は歓迎されるとみられる。ブラジルでのビジネスチャンス発掘には絶好のタイミングといえよう。

(森下龍樹)

(ブラジル)

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