北京市、4月から最低賃金を10.3%引き上げ月額1,720元に
北京事務所
2015年02月26日
北京市人力資源社会保障局が2月15日に発表した「北京市の2015年の最低賃金基準の調整に関する通知」(京人社労発[2015]44号)によると、4月1日から正社員(全日制労働者)の最低賃金基準が月額1,560元(約2万9,640円、1元=約19円)から1,720元(約3万2,680円)に10.3%引き上げられる。時給換算では8.97元から9.89元となる。
<ここ4年の上昇率は10%前後で推移>
北京市は2010年7月1日に最低賃金を引き上げた後、2011年から2013年までは毎年1月1日に引き上げを行ってきた。2011年に月額960元から1,160元、2012年に1,260元、2013年に1,400元へと引き上げた。2014年は4月1日に1,560元へと引き上げを行い、2015年も4月1日から1,720元に引き上げられることになった。
上昇率でみると、2010年(7月)が20.0%、2011年が20.8%、2012年が8.6%、2013年が11.1%、2014年が11.4%、2015年が10.3%となっており、2010年と2011年の2割増の後、ここ4年は10%前後で推移している。
中国では2012年11月の中国共産党第18回全国代表大会で、2020年の都市住民・農民の1人当たり収入を2010年比で倍増する目標が打ち出されていることから、今後も一定の上昇が続くとみられる。また、北京市の最低賃金は、3月1日から12.3%引き上げる広東省深セン市2,030元、上海市1,820元、天津市1,680元、江蘇省蘇州市1,680元などと並んで高い水準にある。
なお同通知では、これまでの引き上げ時と同様、以下の4項目は最低賃金基準の対象ではないとしている。
(1)「中班」(昼過ぎから夜にかけての勤務)、夜間、高温、低温、地下、有毒有害物などの特殊な作業環境・条件下での手当
(2)残業、時間外賃金
(3)労働者個人が納付すべき社会保険料と住宅積立金
(4)国と北京市の規定により最低賃金基準に算入しないと決められたその他の収入
また、パートタイム労働者(非全日制労働者)の最低賃金基準は時給16.9元から18.7元に、休日労働は40.8元から45元に引き上げられた。これらの時給基準には企業(雇用単位)と労働者本人が納付すべき養老・医療・失業保険料が含まれる。
そのほか、出来高払い形式の企業については、労使対等の協議を通じ労働ノルマと出来高単価を確定し、労働者に法定労働時間内の正常な労働を提供することを保障し、賃金が北京市の最低賃金基準を下回ってはならないとしている。
なお、経営状態が良く利益が増えている企業は、労働者の法定労働時間内労働に対し、原則として最低賃金基準以上の賃金を支払うべきだとした。一方、経営が困難で賃金の未払いや遅配などが避けられない場合は、集団交渉や従業員代表大会で協議しなければならないとしている。
(宗金建志)
(中国)
ビジネス短信 54ec16142ee00




閉じる
