ビスフェノールAを含む食品容器が2015年1月から禁止に−内分泌かく乱物質の規制強化−

(フランス)

パリ事務所

2014年12月25日

フランス政府は、内分泌かく乱物質の使用に関する規制を強化する。ビスフェノールAを含む食品容器の製造、輸出入、市場投入を2015年1月から禁止、7月1日からは小児科、新生児科、産科におけるフタル酸ジ(2−エチルヘキシル、DEHP)を含むチューブの使用を禁止する。

<既に持ち込まれた在庫処理のための販売は可能>
ビスフェノールAは、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料として使用されており、プラスチック容器や缶のコーティングに含まれていることがあるが、フランス政府は、2015年1月1日付で食品に直接接触するビスフェノールAを含んだ全ての食品の包装、容器、調理器具の製造、輸入、輸出、有償・無償による全ての市場投入を、食品環境労働衛生安全庁(ANSES)の意見を基に政府が再認可するまで停止する。第三国やEU域内の他国から、食品と接触のあるビスフェノールAを含んだ材料および製品の流通は同日以降禁止となる。同措置はフランスの国内法に基づくものであり、EUレベルでは耐容1日摂取量を体重1キロ当たり0.05ミリグラムから0.005ミリグラムまで下げることが提案されているものの、禁止措置はまだ取られていない。

フランスの監督機関である経済・産業・デジタル省競争・消費・不正抑止局によると、まだ食品に接触のない包装、容器、調理器具で2015年1月1日以前にフランスへの上市(投入)を行ったものは、所有者の移転を証明する請求書あるいは配達証明書などにより証明ができれば在庫処理のための販売は可能。

2015年1月1日以前にフランス市場に投入されたビスフェノールAを含む容器に入った食品については在庫処理のための販売は可能。また、既に市場投入されているビスフェノールAを含む容器に入った食品を在庫処理のためにEU域内の他国に輸出することもできる。

<ビスフェノールAのリスク度を上げるようEUへ提案>
フランス政府は食品の容器から溶出するビスフェノールAが胎児や乳幼児に影響を及ぼす懸念があることを理由に2010年6月30日にビスフェノールAを含む哺乳瓶の製造、輸出入を禁止する法律を公布した。

2012年9月には、政府は欧州化学品庁(ECHA)に対しビスフェノールAが生殖に有害であるとして化学物質規制のREACH/CLP規則の危険・有害性分類カテゴリーにおけるビスフェノールAのカテゴリーを2から1Bに引き上げるよう提案、ECHAのリスク評価委員会(RAC)は2014年3月にフランスの提案を採択している。

<感熱紙、玩具も規制強化の対象に>
フランス政府は食品容器以外に感熱紙や玩具からもビスフェノールAにさらされる可能性があると、欧州委員会に対し感熱紙の使用禁止を提案、ECHAは、フランスの提案に基づき2014年12月まで感熱紙の使用禁止に関して意見公募を行っている。政府は、さらに玩具についても、ビスフェノールAを完全に他の物質に代替するよう玩具に関する指令の見直しをEUに提案する予定だ。

政府は同規制に伴い、食品、環境、医療機器、人体中の内分泌かく乱物質、特にフタル酸エステルの増加による衛生および環境の影響を明確にするレポートを作成しており、今後ビスフェノールAを含めた外因性内分泌かく乱化学物質の規制が強化されそうだ。

(奥山直子)

(フランス)

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