外国と国内の弁護士事務所の弁護士相互派遣と共同営業を認める−上海自由貿易試験区−

(中国)

上海事務所

2014年12月03日

上海市政府は、中国(上海)自由貿易試験区で中国と外国の弁護士事務所の業務提携を管理するための2方案を公表・実施した。今後、同試験区で外国弁護士事務所は中国弁護士事務所と相互に弁護士を派遣し合ったり、中国弁護士事務所と共同営業を行ったりすることが可能になる。

<弁護士の相互派遣は3人まで>
司法部は1月27日、「上海市司法局が提案した上海自由貿易試験区における中国・外国弁護士事務所の業務提携方式に関する方案」を認可した。これを受けて、上海市政府は11月25日、同方案の具体的な施行方法として、「上海自由貿易試験区における中国・外国弁護士事務所による法律顧問としての弁護士の相互派遣の実施弁法」(以下、「弁護士相互派遣弁法」)と「上海自由貿易試験区における中国・外国弁護士事務所の共同営業の実施弁法」(以下、「共同営業弁法」)を公布・実施した。

中国では、外国弁護士事務所の中国代表機構は外国の法律の関連業務を担当し、中国の法律については法律関連情報の提供業務しか取り扱えないこと(「外国弁護士事務所中国代表機構管理条例」第15条)、外国弁護士事務所の中国代表機構は中国の弁護士(注)を雇用できないこと(第16条)、が定められている。

今回実施された「弁護士相互派遣弁法」では、上海自由貿易試験区に本部または支所を設けた中国弁護士事務所は1社に限って外国弁護士事務所の中国代表機構と法律顧問として相互に弁護士を派遣し合うこと、同試験区に代表機構を設けた外国弁護士事務所は1社に限って中国弁護士事務所と法律顧問として相互に弁護士を派遣し合うことが認められた。

さらに、中国の弁護士は外国弁護士事務所の上海にある中国代表機構に派遣された場合、派遣先で中国法律関連の情報提供のみならず、中国の法律に準拠した民事・商事の訴訟と訴訟以外の法律業務を直接取り扱うことが可能になった。

ただし、相互の派遣人数は合わせて3人までで、中国弁護士事務所および支所の責任者、外国弁護士事務所および中国代表機構の責任者は法律顧問として相互に派遣できない。

<1社に限って共同営業を認める>
「共同営業弁法」では、上海自由貿易試験区に本部または支所を設けた中国弁護士事務所は1社に限って外国弁護士事務所の中国代表機構と、同試験区に代表機構を設けた外国弁護士事務所は1社に限って中国弁護士事務所と共同営業を行うことが認められた。

共同営業の契約を結んだ中国・外国弁護士事務所は中国法律業務、外国法律業務、クロスボーダー国際業務の依頼を共同名義で受理し、共同名義で料金を受け取ることが可能になる。ただし、中国法律業務およびクロスボーダー国際業務のうちの中国部分の業務は中国側が、外国法律業務およびクロスボーダー国際業務のうちの外国部分の業務は外国側が担当しなければならない。

(注)中国では、司法試験に合格し、弁護士事務所で1年以上の実習経験を積んだ後、執業弁護士(執業律師)という資格を申請できる。執業弁護士資格の所有者は弁護士として活動できる。

(文涛)

(中国)

ビジネス短信 547c1a34c7b50