貿易ワンストップシステムの運用開始

(コートジボワール)

アビジャン事務所

2013年09月19日

貿易手続きの簡素化や効率化の一環として、貿易ワンストップシステムの運用が開始された。国際的な枠組みと整合させるかたちで制度の簡素化を図り、輸出入、港湾関連手続きの電子化、ワンストップサービス化を通じて物流における利便性の向上と迅速化を目指している。

<2014年には全てオンライン処理に>
貿易ワンストップシステムは7月1日から開始された。同システムでは、輸入者が輸出者から送られてきた船荷証券(B/L)やインボイス、保険証など貿易取引に関わる書類を電子データ処理し、所定の輸入申告書とともに貿易ワンストップ窓口に電子データで送る。これにより、輸入申告から納税までインターネットを利用して内容の照合や審査、必要な認証など、貿易手続きにおける情報のやり取りを迅速に処理し、一元的に管理する。これまでのところ電子化されているのは、一部のプロセスのみだが、2014年までに全ての手続きがオンラインで処理できるようになる。

これにより、従来コートジボワールへの輸出に際し、義務付けられていた船積み前検査は不要となり、荷揚げ地検査に移行した。

政府は、データの電子化処理と審査を行う通関システムの運用をウェブ・フォンテーヌ・コートジボワール(Webb Fontaine Cote d’Ivoire)に委託している。同システムによる検査の対象となるのは原則、FOB価格で100万CFAフラン(約20万円、1CFAフラン=約0.20円)を超える貨物だが、金、美術品、植物、果実、中古車など、除外品リストに掲載されている品目は対象外となる。

手続きに必要な書類は、最終送り状、パッキングリスト、船荷証券または航空運送状(AWB)、保険証書、その他(原産地証明書、分析証明、食品衛生証明など)。

これら輸出者から送られてきた船積み書類を輸入者または通関業者が、所定の輸入申告書とともにワンストップセンターに提出すると、海上貨物の場合は5日、航空貨物の場合は2日以内にHSコードおよび輸入申告価格の確定が行われ、最終報告書(RFCV)が輸入者または通関業者、および税関端末(SYDAM WORLD/自動通関システム)へ送付される。税関は、貨物の積み荷に関する電子データを受けてリスク評価をし、必要に応じて貨物検査を実施する。その後、輸入者が関税およびその他税を納付し、輸入許可証が交付されると手続きが完了する。

なお、輸入者はRFCVの審査内容に異議がある場合、所定の様式にて申し立てを行い、新たにRFCVの発行を受ける。さらに異議がある場合には、仲裁委員会に申し立てを行うこととなる。

2014年までには、これら一連の手続きが全て電子化され、輸入者は自社のパソコンなどから輸入申告を行うことができるようになる。

<オンラインでの決済サービスも導入の予定>
導入された電子化システムは、政府が運用する貿易ワンストップ窓口サイトで行われる。このウェブサイトは、輸入業者などが貿易に関する手続きや情報の入手を行えるよう、税関や港湾、関係省庁など政府関連機関の情報を集約させる目的で開設された。現在、同ウェブサイトからは所定の申告用紙や関税率表、為替レート表がダウンロードできる。政府は今後、ウェブサイトの内容を充実させていく方針で、オンラインでの決済サービスも導入予定としている。

世界税関機構(WCO)では、税関手続きの電子化や簡素化に関する国際規約や勧告を策定している。従来の税関手続きをそれらの基準や勧告に可能な限り調和させることは、貿易の安全や税関手続きの効率性を高め、貿易を円滑化し促進することにつながる。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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