総合小売業の投資要件も緩和−外資規制の追加緩和策が閣議決定−

(インド)

ニューデリー事務所

2013年08月21日

総合小売業の投資要件緩和や通信分野の出資上限の引き上げなどを盛り込んだ外国直接投資(FDI)の追加規制緩和策が閣議決定された。総合小売業の厳しい投資要件を見直すよう外国企業から出ていた要望を受け、政府が緩和に踏み切った格好だ。

<政府は総合小売業の誘致に強い自信>
8月1日の閣議決定で、総合小売業の投資要件の緩和策が決まった。その主なポイントは以下の3つに分類される。

(1)インフラ整備に対する投資について
総合小売業の投資額は、1億ドル以上でかつその投資額の50%以上を3年以内にインフラ整備に充てることが義務付けられているが、今般の閣議決定により、この義務は「初期投資」に限定し、それ以後のインフラ投資は個々の企業の裁量に任せることになった。

(2)地場の小規模企業からの製品調達について
製品調達額の30%を地場の小規模企業(工場・設備への投資額が100万ドル以下)から調達することが要件になっている。この要件が今般の閣議決定により、小規模企業の判断基準となる工場・設備への投資額が「200万ドル以下」に引き上げられることになった。また、この条件は総合小売業を営む企業が調達先の企業を選定した際に基準を満たしていればよいものとし、たとえ調達先の小規模企業がその後、200万ドルを超える追加投資をしたとしても、引き続き調達先として認定される。さらに、農業協同組合からの調達も対象と見なされることになった。

(3)店舗の立地選定について
今般の閣議決定により、総合小売業の店舗は100万人未満(2011年国勢調査に基づく)の都市であっても、その都市の属する州政府の意向次第で開設が可能になった。

今般の閣議決定における総合小売業の投資要件の緩和について、シャルマ商工相は「これらの変更は、国内外の関連企業や投資家などと意見交換を踏まえた結果だ。彼らの要求の中には、政府にとっても合理的といえる項目もあった。インドでの総合小売業の展開を考える企業が自信を持って投資を決断できるように、要件の明確化や柔軟性の拡大が求められていた」と総括し、「これをもって総合小売業への投資は始まるはずだ。今回の閣議決定で外資にとっての主な投資障害は取り除かれたはずだ」と述べ、今後の外資誘致に強い自信をみせた。

しかし、6月6日に産業政策振興局(DIPP)が明確にした、総合小売業の投資要件の内容を踏まえる必要があるのも事実だ。この中で特に注目すべきポイントは、小規模企業から調達した製品の販売ルートが国内の小売店のみに限定され、それ以外の流通経路(卸売りや輸出など)に乗せられたものは対象としない点や、総合小売業に投資した企業によって運営される小売店舗は、当該企業が保有しかつ運営されるものでなければならず、フランチャイズ展開は認められない点だ。こうした要件は依然、投資を考える企業にとって大きな障害と言わざるを得ない。

2012年の総合小売業の外資開放以後、同分野への投資を申請した外国企業が1社も存在しないといわれる現状を踏まえ、今回の規制緩和が外国企業による投資決断にどれほどのインパクトを与えるかが注目されている。

<通信分野は100%出資可能に>
今般の閣議決定では、7月のFDI関連閣僚特別会合(2013年7月30日記事参照)で合意された通信分野の出資上限100%への引き上げなどに加え、新たに茶業とテストマーケティングへの投資の規制緩和策が追加された(表参照)。

茶業については、外資出資は100%まで可能だが、投資額の26%を5年以内にインドの提携相手企業に売却するという条件が付いていたが、今般この条件が撤廃されることになった。また、テストマーケティングを目的とする投資については、従来FIPBの個別承認のもとで100%まで外国企業による投資が可能だったが、その条項自体が削除されることになった。

閣議決定された外資規制緩和内容

(西澤知史)

(インド)

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