外国直接投資への追加の規制緩和策を決定

(インド)

ニューデリー事務所

2013年07月30日

通信分野の出資上限の引き上げや、投資実行に際して政府の自動承認が適用される業種の拡大などを盛り込んだ外国直接投資(FDI)の追加の規制緩和策が決定された。海外からの直接投資を拡大することで、インド経済の抜本的な立て直しを図ろうとする政府の姿勢が鮮明になってきた。

<通信分野は100%出資が可能に>
首相を議長とし、関係閣僚により構成されるFDIに関する特別会合が7月16日に開催され、FDIへの追加の規制緩和策を決定した。政府がさらなる規制緩和に踏み切った背景としては、拡大する経常赤字と長期にわたる通貨ルピー安がある。シャルマ商工相は「今回の規制緩和が、インドへのより多くの外国資本の流入をもたらすことを期待している」と述べ、「インド経済と国内製造業を活性化する効果も狙っている」と付け加えた。

今回の規制緩和の中で、最も注目されているのが通信分野で、外資による出資上限が100%に引き上げられた〔現行:49%以下は政府による自動承認、49%超は外国投資促進委員会(FIPB)の個別承認が必要〕。通信分野は携帯電話の普及に伴い順調に成長を続けており、既に英ボーダフォンなどの大手外資が進出しているが、政府は規制緩和により一層の拡大を後押ししたい考えだ。シバル通信・情報技術相は「出資上限の緩和が国の安全保障に影響を与えることはない。むしろ問題なのは国内で流通する通信・情報機器の多くが輸入に頼っていることだ」と指摘する。同省は、通信・情報機器をはじめとする電子機器の国内製造を振興させるため、2012年10月に国家電子産業政策(NPE)を発表した。インドでの製造を検討する電子機器メーカー向けに設備投資補助や減税などのスキームを用意しているほか、同省内にジャパンデスクを設置し、日系企業の投資を強く呼び掛けている。ある日系電子部品メーカーの幹部は「インドの通信産業では莫大(ばくだい)な電子部品の需要が見込め、いち早く現地生産を開始すれば他社に先駆けられるのは確かだ。しかし、精密部品輸送に対応できる物流インフラの整備など、政府の支援を得ながら一つ一つ課題をクリアしていく必要があるのも事実だ」とコメントした。

通信分野以外の業種でも、出資上限の引き上げや承認の方法に変更があった。主な内容は以下のとおり。

閣議決定された外資規制緩和内容

<単一ブランド小売業も緩和>
近年、外資開放の焦点となっている総合小売業について追加的な規制緩和はなかったが、出資比率に関係なくFIPBによる個別承認が求められている単一ブランド小売業については、49%以下の投資に自動承認が認められることとなった。期待された航空分野やメディア分野などの規制緩和はなかった。

今回の外資規制緩和は、閣議での承認を経て、産業政策振興局(DIPP)による官報の公示をもって施行される。なお、これとは別に保険分野の出資規制については、現行の26%から49%まで引き上げられることが既に閣議決定されているが、規制緩和には関連法の改正が必要で、国会の承認待ちの状況となっている。

(川野智成)

(インド)

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