ペルーとのFTAが発効

(コスタリカ、ペルー)

メキシコ事務所

2013年06月11日

コスタリカとペルーの自由貿易協定(FTA)が6月1日に発効した。コスタリカは5月23日にコロンビア・カリで開催された第7回太平洋同盟首脳会合で同同盟への正式加盟を申請しており、ペルーとのFTA発効で加盟承認への環境が整いつつある。

<交渉終了から2年を経て発効>
コスタリカ、パナマ、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラとペルーは、2009年10月にFTA交渉を開始することで合意。以後、コスタリカとペルーは4度の交渉ラウンドと1度のミニラウンドを経て2011年5月6日に交渉を終了、同26日に協定書に署名していた。コスタリカ側の批准手続きに時間を要したが、2013年4月22日にコスタリカ国会がこれを承認、翌22日にコスタリカ、ペルーの2国間FTAの効力の発生に関する外交公文の交換が行われ、6月1日の協定発効に至った。交渉終了から発効まで2年を要した。コスタリカとともにペルーとFTA交渉を行った中米諸国のうち、パナマは既にFTAを発効させている。グアテマラは批准手続き中、ホンジュラス、エルサルバドルは交渉を継続している。

コスタリカ貿易省(COMEX)のプレスリリース(6月4日)でアナベル・ゴンサレス貿易相は「ペルーとのFTA発効は、(関税の引き下げにより)特に中小企業、消費者に裨益(ひえき)し、コスタリカの太平洋同盟への加盟、南米諸国や新興国との貿易拡大を推進する政策の上でも非常に大きな一歩だ」と述べている。

<両国とも1.3%を除外品目に>
COMEXによると、ペルーはコスタリカ原産品について、タリフライン(関税品目数)の82.3%の関税を即時撤廃、6.1%を5年、7.5%を10年、0.7%を12年、1.3%を15年かけて撤廃する。また、0.6%を関税撤廃スケジュールが変則的な特別品目、0.2%を割当品目、1.3%を除外品目としている。除外品目は、豚肉、冷凍した鶏肉、牛乳、粉乳、チーズ、ヨーグルト、ジャガイモ、タマネギ、トマト、フリホーレス豆、コーヒー、コメ、砂糖、ビール、アイスクリーム、乳飲料、金属製の板、プラスチック製のシート、紙製ラベル、ペットボトル、陶磁製の台所用流し、浴槽、洗面台、便器、ガラス容器、鉄、鋼鉄、アルミニウム製の形材など。

コスタリカはペルー原産品について、タリフラインの77.8%の関税を即時撤廃、3.6%を5年、12.6%を10年、2.0%を12年、2.6%を15年かけて撤廃する。また、0.1%を割当品目、1.3%を除外品目としている。除外品目は、生鮮・冷蔵・冷凍の豚肉、冷凍の鶏肉、牛乳、粉乳、ヨーグルト、バター、ミルクから得た油脂類、チーズ、トマト、タマネギ、ジャガイモ、フリホーレス豆、コーヒー、コメ、米粉、砂糖、パスタ、アイスクリーム、ビール、乳飲料、犬猫用ペットフード、ポリエチレン製のシート、ペットボトル、プラスチック製のふた、キャップ、カプセル、紙製ラベル、陶磁製の台所用流し、浴槽、洗面台、便器、ガラス容器など。

FTAの発効により、コスタリカ産の牛肉、パルミート、チョコレートおよびカカオ製品などの関税が撤廃され、ペルー市場における競争力向上が期待できるという。また、ペルー原産品については、アスパラガス、オリーブ、オレンジ、ミカン、ブドウ、カカオ製品、布地、貴金属などの関税が撤廃され、コスタリカ市場における競争力が高まるとしている。

<現状の対ペルー貿易額はごくわずか>
COMEXによると、2012年の対ペルー輸出額は1,819万ドル、輸入額は4,621万ドルにすぎない(表参照)。輸出入総額に占める割合は過去10年間、輸出で0.1〜0.4%、輸入でも0.1〜0.3%にとどまる。主な輸出品目は加工食品、医薬品、金属製のふた、注射針、乗用車用タイヤなど。輸入品目はプラスチック製のシートやフィルム、冷凍した魚のフィレ、ペットフードなどとなっている。

外国直接投資についてもペルーからの案件は限定的だ。FTAの発効が両国の通商関係をより活発にすることが期待される。

コスタリカの対ペルー貿易額の推移

(西澤裕介)

(コスタリカ・ペルー)

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