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リ・インボイスでの利用は認められず−動き出す自己証明制度第2パイロットプロジェクト(2)−

(ASEAN、インドネシア、タイ、フィリピン、ラオス)

バンコク事務所

2013年03月07日

ASEAN自由貿易地域(AFTA)における自己証明制度の第2パイロットプロジェクト(第2PP)解説の後編。第2PPは「生産者」しか利用できず、また仲介貿易でも利用できないなど、第1PPに比べて利用が制限的になっている。ASEANの域内貿易で仲介貿易を行っている企業は少なくなく、こうした企業は排除されることになる。これまで東アジア地域では、ASEANのルールが広く採用されており、日本を含めた東アジア各国も無関係とはいえない。

<品目をあらかじめ登録する必要>
第2PPは第1PPに比べより制限的になっている。具体的には、a.自己証明制度が利用できる認定輸出者は「生産者」のみであること、b.「原産地申告文言」の記載は「商業インボイス」にのみ認められていること、c.署名権者は「3人」までに制限されていること、などだ。

第1PPとの相違を具体的にみると、規則1「定義」で「認定輸出者」については「輸出する商品のインボイス申告を行うための正当な権限のある生産者(Producer)」とされるなど、自己証明制度を利用できる企業は製造業など生産者に限られている。タイの場合、第1PPには69社が登録、うち57社が製造業者だ。これら57社は再び登録することなく発給部局に利用の意思を示すことで第2PPを利用できる一方、製造業者でない12社は第2PPから排除される。

第1PPの場合、タイ商務省はASEAN事務局に対し、a.企業の法人登記名、b.企業登録、c.所在地、d.発給当局の付与番号・付与日・有効期限、などを通知する。これに加え第2PPでは、e.企業ごとに3人以内の署名権限者名、署名(輸入国確認用)、f.インボイス申告する認定輸出者の品目リスト、の通知が必要になる。そのため、自己証明を利用する可能性のある品目はあらかじめ登録しておく必要があり、輸出相手国税関への周知にどの程度の期間を要するか気になるところだ。

また、第2PPにおいて実際にインボイス申告をする場合、インボイス上に次の定型の「原産地申告文言」とともに署名権者名の上に署名を行うが、その際にHSコードの記載も必要となる。

「この文書の対象となる産品の輸出者(認定輸出者許可コード:…番)は、別段の明示をする場合を除き、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)のもと原産分類:…でASEAN原産品(ASEAN原産国:…)として原産地規則を満たす産品(HSコード:…)であることを申告する」(注)

規則12Bで、インボイス申告を行うスペースが全ての品目を記載するのに十分でない場合はページを追加し、HSコード、原産分類、署名権者名とその署名を記載できるとされている。

<リ・インボイス利用を排除>
近年、アジアに複数の拠点を持つ企業において、地域統括拠点や日本本社などに決裁事務や為替リスクの集中管理による効率化を行うネッティングセンター機能を付与するケースがある。これらは仲介貿易、もしくは三角貿易とも呼ばれるが、製造国からの仲介国宛てインボイスをいったん発行するものの、さらに仲介国は輸出国宛てに新たなインボイスを発行することから、「リ・インボイス」と呼ばれている。

第2PPでは、「インボイス申告」はあくまで「インボイス」上で行わねばならず、第1PPで可能だった請求明細書(Billing Statement)、配送指示書(Delivery Order)、納品書(Packing List)などの商業書類は利用できない。そのため、第2PPではインボイスが切り替わる仲介貿易は利用できない。実際に規則23では、第1PPにあった「インボイスが2回発行される場合、インボイス以外の商業書類にインボイス申告が可能」との文言が削除されている。

ジェトロが2007年11〜12月に行ったアンケートでは、在タイ日系製造企業141社のうち、アジア域内向け輸出で仲介貿易を使っている企業は23社(16.3%)だった。こうした企業が仲介貿易を行っているのは「日本」が最も多く69.6%を占め、シンガポール(39.1%)が続く。リ・インボイスを利用し、日本などに利益を還元する企業はさらに増えているとみられる。

現在、自由貿易協定(FTA)ではあらかじめ仲介貿易の利用規定を入れるなど「リ・インボイス」を適用対象にするのが一般的だ。当初、協定にリ・インボイスの明確な規定がなかったASEAN・中国FTAやタイ・インドFTAでは、産業界の強い意向を踏まえ、協定改定の際に同条項を盛り込んでいる。

<未参加国の取り込みが必要>
第2PPではその他に、規則12Bで「商業インボイスに記載されている日付がインボイス申告の発行日と考えること」が明記されている。フォームDの場合、発給は「輸出日または遅くとも輸出日から3日以内」と定められており、この規則が自己証明制度を利用する上でどのように影響するのか、実際の運用を注視する必要がある。

現在、ASEAN10ヵ国のうち、カンボジア、ミャンマー、ベトナムがどちらの自己証明パイロットプロジェクトに参加するのか、態度を明らかにしていない。ベトナムは自己証明制度を利用した「虚偽申請」を懸念しているといわれており、より利用制限的な第2PP参加に傾くのではないかとみられている。

これまで東アジアでは、ASEANのルールが広く採用されている。例えば、AFTAで当初から採用してきた原産地規則「累積付加価値率40%」およびその計算方法は、東アジア全体の標準になっている。こうした状況を踏まえると、日本を含めた東アジア各国も無関係とはいえない。ASEAN経済共同体が完成する2015年には、より利用範囲が広い第1PPが採用されるよう、日本を含めた関係各国は働き掛けていくべきだろう。

(注)英文は次のとおり。“The exporter of the product(s) covered by this document (Certified Exporter Authorization Code…) declared that, except where otherwise clearly indicated, the products (HS Code/s…) satisfy the Rule of Origin to be considered as ASEAN Originating Products under ATIGA (ASEAN country of origin:……) with origin criteria:…..”

(助川成也)

(ASEAN・タイ・インドネシア・フィリピン・ラオス)

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