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メディアの多くは欧州債務危機再燃の懸念を表明−イタリア総選挙に対する英国の見方−

(イタリア、英国)

ロンドン事務所

2013年03月04日

イタリアの総選挙(2月24〜25日)について、英国メディアは「イタリア国民が緊縮財政に拒否を示した」との論調が多かった。また、欧州債務危機の再燃を懸念する報道も目立った。他方、イタリアビジネス関係者の中には、第3の政党「5つ星運動」の躍進により、税制や労働市場などのビジネス環境が改善する好機と捉える見方もある。両国の経済関係は、2012年の貿易赤字が前年比50.4%増、2011年度(2011年4月〜2012年3月)の対英投資案件数が前年度比84.9%増となるなど、大きく変化している。

<経済界にはイタリアのビジネス環境へ期待の声も>
英メディアの多くは、イタリア国民が緊縮財政に拒否を示し、安定政権確立の見通しが不透明な中で、ユーロ危機再燃の可能性が高まったとしている。BBC(電子版2月26日)は「イタリア総選挙を受け、欧州債務危機が再びメニューに戻った」とし、「欧州債務の危機が高まる」「国民の貧困と怒り増す」「支援要請に追い込まれるイタリア」「長引く袋小路」「緊縮財政大きく後退」「統治困難なイタリア」など、選挙結果に対する有識者の厳しい見方を伝えた。

他方、イタリアビジネス関係者の中には、今回の選挙結果をビジネス環境改善の好機と捉える向きもある。

在イタリア英国商業会議所のジョン・ロー会頭は2月27日、ジェトロの電話インタビューに応じ、「(会員企業を代表する意見ではないが)選挙結果は驚きをもって受け止めた。しかし、イタリアでの政局混乱は珍しくはない。むしろ、第3の政党躍進により、抜本的な改革が進む好機と考える。法制、税制(特に徴税)、労働市場など、多くの分野で構造改革が必要とされている。国内で南北格差を抱えるイタリアの変革が成功すれば、欧州のモデルとなり得る」と述べた。

また、対イタリア貿易投資振興に携わる英国政府高官が2月28日の電話インタビューで語ったところによると、選挙後に対英国投資有望企業を複数社訪問したが、いずれも政局に大きな不安を抱いていない様子だったという。これらの企業は、旧知の相手と取引するイタリアの閉鎖的なビジネス慣習を続けていて、政府と距離が遠いため、政局に左右されにくいとしている。同高官は、「5つ星運動」の活躍によっては課税逃れや地下経済など、長年続く不透明なビジネス環境が改善される可能性があると述べた。

2012年の英国の対イタリア貿易(通関ベース速報値、財のみ)は、輸出が前年比20.2%減の79億2,400万ポンド(1ポンド=約139.6円、構成比2.7%)、輸入が1.1%増の143億6,100万ポンド(3.5%)で、貿易赤字が前年比50.4%増の64億3,700万ポンドへと拡大した。英国貿易投資総省(UKTI)によると、2011年度のイタリア企業による対英投資件数は、前年度比84.9%増の98件で、米国(336件)に次ぐ2位(前年度10位)に急上昇した。

輸出の急減はイタリア経済の悪化による需要減退のためと推測される。対英投資案件数の急増について、前述の政府高官は、対英投資有望分野を高付加価値型製造業や研究開発に絞り込んだことで、イタリアに競争力がある自動車や航空機、再生可能エネルギーなどの先端技術を持つ企業の誘致につながったとみる。その背景として、a.長引く国内不況により、イタリア企業の国際化圧力が高まったこと、b.リスク分散の観点からユーロ圏以外への投資推進、c.イタリア政府からの研究開発などに対する支援の遅れ、などを挙げている。

(村上久、ピーター・カワルチク)

(英国・イタリア)

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