輸出と内需が勢い乏しく0.5%成長にとどまる−2013年の経済見通し−

(オーストリア)

ウィーン事務所

2013年01月09日

国立銀行(中央銀行)は、2013年の実質GDP成長率を0.5%と予測している。主要貿易相手国であるユーロ圏諸国の景気回復の遅れから、オーストリア経済の牽引役である輸出が伸び悩んでいる。外需低迷を国内需要で補うことができず、2013年は2012年をわずか0.1ポイント上回る成長率にとどまり、経済の回復は2014年以降となる見通しだ。

<大幅下方修正された予測値>
中央銀行は、毎年6月と12月にその年と向こう2年間の経済予測を発表している。2012年12月の発表では2013年の主要経済指標について、実質GDP成長率0.5%(2012年6月の予測に比べ1.2ポイント減)、個人消費0.5%(0.5ポイント減)、総固定資本形成0.8%(1.7ポイント減)、輸出2.7%(3.4ポイント減)など、2012年6月の予測値を軒並み下方修正している。

特に下方修正の幅が大きいのが輸出だ。2008年のリーマン・ショック以降、オーストリアは輸出が経済を牽引し、EU平均を上回る経済成長を続けてきた。しかし、2012年には欧州債務危機の影響を受け、主要輸出市場であるEU諸国への輸出が伸び悩んだ。輸出は2012年に入り、第1四半期が前期比0.4%増、第2四半期が0.6%増、第3四半期も0.9%増と低水準で推移してきたが、中央銀行は第4四半期の0.2%増を底として、2013年第3四半期には前期比1%以上の増加に回復するとしている。

オーストリアの2011年輸出の37%は、輸出市場の景気の影響を受けやすい機械・輸送機器が占めた。現在EUへの輸出依存度が約70%と高いことから、政府はEU域外を含めた輸出先の多様化に向けた支援策を打ち出している。

<設備投資、個人消費ともに伸び悩み>
中央銀行の見通しでは、総固定資本形成の中でも企業の設備投資は0.2%増と、2013年はごくわずかな伸びにとどまる。実質金利がほぼゼロで、企業への融資額が2012年は前年比で約3%増とユーロ圏諸国の伸びを大きく上回っているものの、経済の先行き不安や国外からの受注減少などにより、2013年上半期までは新規設備投資の伸び悩みが予想される。

2013年の個人消費は0.5%増と、2012年の伸び率を0.2ポイント上回るものの、経済成長を支える力強さはない。オーストリアでは雇用者数自体は2012年に堅調に伸びたが、派遣労働者の増加や残業の減少などが賃金上昇を抑制している。2013年の賃金上昇率は2.9%と2012年の4.3%を下回り、実質可処分所得も0.3%増にとどまる見通しだ。

<失業率は悪化もEU最低水準を維持>
2013年の失業率は4.7%と2012年から0.3ポイント悪化することが予想されている。2013年の新規雇用者数の増加は、2012年の3分の1程度(1万6,000人)となる見通しだ。労働供給については、2004年にEUに加盟した中・東欧8ヵ国に対して2011年5月に労働市場を完全開放してから2012年10月までに約5万人が流入したが、2013年以降の流入数は年間1万5,000人に減少する見通しだ。一方、国内の55〜64歳の高齢労働者は増加傾向にあり、全体として失業率は2012年比で若干悪化するが、EU域内では最も低い水準を維持する見込み。

<財政赤字はマーストリヒト基準を満たす>
このように2013年は厳しい経済情勢となる見通しだが、一時国営化されたヒポ・アルペ・アドリア銀行への公的資金注入を抑制していくこと、また2012年3月に議会で可決された戦後最大規模の財政再建策が2013年から本格化することから、財政赤字はGDP比2.1%と2012年から0.9ポイント改善し、マーストリヒト基準(GDP比3.0%以下)を満たす、と中央銀行は予測している。

主要経済指標

(鷲澤純)

(オーストリア)

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