カルナタカ州、オンラインのプロジェクト認可制度を国内初導入

(インド)

バンガロール事務所

2012年11月12日

カルナタカ州政府はオンラインによる新規投資案件の申請制度「e−Udyami」(イー・ウディヤミ)を導入した。オンラインによるプロジェクトの申請手続きを開始するのは、カルナタカ州が国内で初めて。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<認可手続きにかかる時間が短縮>
カルナタカ州で新規工場を設立するには、州政府によるプロジェクトの認可、工場用地の手当ての後、環境クリアランス、工場設計・レイアウト、電力、水、ボイラー、消防、労働者雇用などの許認可手続きが必要となる。旧制度では、それぞれの段階に応じた個別の申請書の提出が必要だったが、新制度により、これら全ての申請はオンライン化され、その後の許認可の進捗もオンライン上で確認できるようになった。これにより、プロジェクトの認可手続きの透明性が向上し、認可に要する時間が短縮されることが期待される。

カルナタカ州政府は2012年6月に開催したGIM(Global Investors Meet)で覚書に調印した約750件の投資案件を登録し、新システムの試験運用を開始した。新システムへのアクセス権限は、投資家と州政府のプロジェクト許認可手続き担当者に限られる。カルナタカ州に投資を希望する場合は、同州への企業進出の窓口となっている州政府系機関「カルナタカ・ウドヨグ・ミトラ(KUM)」からユーザIDとパスワードの発行を受けると、「e−Udyami」のポータルサイトにログインできる(注)。

<各種情報も取得できる総合プラットホーム>
このシステムでは、プロジェクトの種類によって許認可手続きのワークフローが定義されており、投資家はログインすればプロジェクトに係る各認可申請プロセスを開始できる。同時に、そのプロジェクトに付与されるインセンティブや州政府側の管理担当者についての情報なども入手できる。そのほか、カルナタカ州のマクロ経済状況や同州で適用される環境法、労働法などについての情報にもアクセスできる。

全プロセスはKUMの担当者が管理し、各手続きに係る各州政府機関担当者との調整業務や「e−Udyami」のヘルプデスクの役割なども果たす。このシステムの一般的プロセスフローは図のとおり。

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また、投資家が各作業の進捗状況を視覚的に把握できるように「ガントチャート(Gantt Chart)」という機能も導入された(添付資料の図1参照)。

<タイムリーかつ効率的なサービスを目指す>
ワークフローで投資家側が各申請タスクを完了すると、州政府の関連部門が許認可手続きを開始し、所定の期限内にタスクを適正に処理する。政府側の担当者は4段階のエスカレーションマトリックス(上級担当官→工業次官→首席次官と工業相→州首相)で定義されており、各レベルで対応が遅くなった場合は、直属の上位レベルに通知されるシステムとなっている。各部門の担当者の業績が評価され、その情報が公開される。このような手続上の対策により、投資家に効率的なサービス提供を行うことが期待されている。

逆に、投資家側のタスクが遅れた場合は、KUMは投資家とやり取りし、そのタスクをなるべく早めに完了するよう督促する。

また、同システムの「ダッシュボード」という機能を使用して、州政府担当者が全プロジェクトをセクター別や地域別にバーチャートや円グラフなどで表すことで、各部門の実績を評価できる(添付資料の図2参照)。

<共通の申請フォームの導入が今後の課題>
現在のオンライン申請では、認可する機関ごとに個別のフォームの使用が義務付けられているが、KUMは各手続きのための申請書を共通化し、プロセスをさらに単純化することを検討している。また、ダッシュボードでデータを分析する際、国別に投資額を表示できるようにする新機能も追加される予定だ。

なお、以下は参考情報。

「e−Udyami」システムのユーザーマニュアル(PDF)
「e−Udyami」システムのデモビデオ
○同システムに関する問い合わせ先
・Karnataka Udyog Mitra No 49, Race Course road Khanija Bhavan, East Entrance Bangalore−560001
・電話:080−22282392、080−22285659
・ファックス:080−22266063
・担当者:Ms.Champa(Project Officer)
・Eメール:champa15@gmail.com

(注)「e−Udyami」(イー・ウディヤミ)のウディヤミとは、現地カンナダ語で「投資家」の意。

(ディーパク・アーナンド、久保木一政)

(インド)

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