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マレーシアなどが特恵対象外に−GSP新規則を公示−

(ASEAN、EU)

欧州ロシアCIS課

2012年11月02日

EUの新たな一般特恵関税(GSP)規則が10月31日、官報に公示された。新規則は11月20日に発効、2014年1月から適用を開始する。アルゼンチン、ブラジル、ロシア、マレーシアなどが特恵の対象から外れる。13年初めには対象国の見直し、製品別の卒業条項の適用についての実施規則を公布する予定。

<タイや中国も今後対象から外れる可能性>
GSPとは、途上国向けに関税の減免を認める制度。EUの場合、対象国からの輸入に対し、品目により関税を免除、あるいは最低3.5%軽減する。またEUはGSPの枠組みの下、GSPプラスと武器以外全て(EBA)という特恵制度も設けている。前者は一定の要件を満たし、人権などの国際条約を順守している国に対してさらなる特恵を与えるもの。後者は低開発途上国(LDCs)に対して、ほぼ全ての製品の関税を免除するものだ。

今回発効する新規則978/2012(PDF)は、欧州委が旧規則の期限切れを迎えるのに伴い、2011年5月に提案していたもの(2011年5月20日記事参照)。リスボン条約の発効に伴い、欧州議会も法案に対し同意・修正権を持つようになり、欧州議会、EU閣僚理事会(理事会)で議論が進められていたが、6月に欧州議会、10月4日に理事会で法案を採択(PDF)していた。

新規則は、「最も必要としている国により多くの特恵を与える」ことを目的に、さまざまな変更が行われた。また新規則は、欧州委の発表では明示されていないものの、2010年発表の新通商戦略で示された、一定の発展を遂げ利益を得ている国・地域からは相応の対価を求めるというアプローチに沿ったものでもある(2010年11月10日記事参照)

特に影響の大きい変更点としては、対象国の大幅な見直しがある。旧規則では現在176ヵ国・地域が対象とされているが、89ヵ国・地域にまで対象は絞り込まれる(添付資料参照)。既に自由貿易協定(FTA)など別の特恵を受けている国が除外されるほか、直近3年間で1人当たり国民総所得(GNI)が、世界銀行の分類により高所得国または中高所得国に分類される国も除外される。従来は中高所得国は除外されていなかったが、これにより、アルゼンチン、ブラジル、ロシア、マレーシアなどが対象から外れる。

さらに、対象国の見直しは毎年行われる。欧州委は早ければ2013年初めにも直近のデータに基づく対象国の見直しを行う予定。例えば、タイ、中国は11年7月の世銀発表から中高所得国に分類されている。そのため、両国とも14年以降の見直しで対象から除外される恐れがある。発効後に除外された国に対しては1年の猶予期間が与えられるものの、特恵から除外される国、あるいは除外が想定される国は、関税減免を維持するため、EUとのFTA交渉を急ぐ。

<ビデオ機器は無税品目に移行>
その他の主な改正点は以下のとおり(注1)。

○対象品目、カテゴリーの変更
GSP対象品目を一部拡大するとともに、従来センシティブ品目(3.5%軽減)とされていた品目の一部を非センシティブ品目(無税)に移行。例えば、85219000(ビデオ機器)は従来センシティブ品目に分類されていたのが、非センシティブ品目とされた。

○品目ごとの卒業(注2)要件を変更
旧規則では、ある部(セクション)の製品の特定国からの輸入の3年間の平均額が、GSP対象国全体からの当該製品の輸入額の15%(繊維は12.5%)を上回った場合に、当該部の製品をGSP対象外とするとされていた。新規則ではこれを17.5%(繊維は14.5%)に引き上げる。また、GSPプラスについては、卒業メカニズムを適用しないとしている。

○GSPプラスの資格基準を緩和
GSPプラスの申請資格の基準として、GSP対象とされている輸入品目のうち、当該国からの輸入のほとんどが少数品目で占められること(多角性基準)、GSP対象品目のEUへの輸入総額に占める割合が少ないこと(輸入シェア基準)が挙げられている。旧規則では、多角性基準については、当該国からの輸入について上位5部がGSP対象輸入総額の75%以上を占めることとされていた。また、輸入シェア基準は、EUのGSP対象輸入総額の1%未満であることとされていた。

新規則では基準を緩和し、多角性基準は上位7部、総額の2%未満とした。これにより、フィリピン、パキスタンもGSPプラスの申請資格を持つことになった。さらに、GSPプラスの申請は、従来は一定の見直し期間中にのみ認められていたが、新規則ではいつでも認められる。

<2013年初めにも品目別卒業リストなどを公布の見込み>
新規則の発効を受け、欧州委は2013年初めにも対象国リストの改正、手続き規定、品目別卒業リストなどを定めた決定をそれぞれ公布する見込み。また原産地規則も見直す予定(注3)。

新規則の内容や今後のスケジュールについては、欧州委の説明資料(PDF)で確認できる。

(注1)欧州委が2011年に提案した段階でのGSP改革案については、EUの一般特恵関税(GSP)改革案を参照。
(注2)EUのGSP規則の下では、ある国の特定の製品の部について、競争力がありすぎる場合に、関税特恵から除外することが認められている。これを「卒業」と呼んでいる。なお、新規則では製品群を32の部に分けている(付属書V)。
(注3)EUのGSP原産地規則は2011年1月から大幅に緩和されている。現行の原産地規則の内容については、EUのGSP原産地規則ガイド(仮訳)を参照。

(牧野直史)

(EU・ASEAN)

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