丸太に関税割当を設定−WTO加盟に伴う輸出関税率を公表−

(ロシア)

欧州ロシアCIS課・モスクワ発

2012年08月17日

政府は、WTO加盟後の輸出関税率を公表した。日本向け主要輸出品の丸太(オウシュウトウヒ、オウシュウアカマツなど)には関税割当が設けられた。割り当ての枠内であれば、現行税率より引き下げられるが、割り当てを超える分には現行税率より高い税率が設定された。冷凍のベニザケやカニの輸出税率に変更はないが、4年以内に撤廃される予定だ。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<冷凍のベニザケやカニは4年以内に関税撤廃>
WTO加盟への正式加盟が8月22日に迫る中(2012年7月24日記事参照)、連邦政府はWTO加盟に伴う輸出関税率について規定した2012年7月21日付政府決定第756号「関税同盟に関する協定への参加国以外に輸出される商品の輸出関税率の承認とロシア連邦政府のいくつかの法令の失効について」を、ウェブサイトで公表した(関税率の閲覧方法については添付資料1参照)。

課税対象は、主に未加工の魚介類、一部の鉱石、鉱物性燃料、原皮、未加工木材、貴金属、卑金属など。今回公表された連邦政府決定はロシアのWTO加盟議定書の発効日から施行される(注)。日本向け主要輸出品に対する輸出関税率は添付資料2のとおり。原油、石油製品の輸出関税については別途毎月政令で決められている(2012年8月分は2012年7月23日付連邦政府決定第758号)。

日本向け主要輸出品である丸太など未加工木材のうち、オウシュウトウヒ、オウシュウモミ、オウシュウアカマツについては、WTO加盟議定書に記載されたとおり、加盟に伴い新たに関税割当が設けられる。関税割当は欧州向けとそれ以外で分けられており、割り当ての枠内であれば、現行よりも低い輸出関税率が適用される。割当枠を超える分の輸出関税率はWTO加盟議定書には盛り込まれていなかったが、今回の決定で80%(最低課税額:1立方メートル当たり55.2ユーロ)という高税率が課されることになった。

また、8月8日には関税割当数量が正式決定された(表参照)。EU向けが別枠で設けられているが、日本が多く輸入するオウシュウアカマツについては、EU向けよりも、その他の国向けが多く割り当てられている。

丸太など未加工木材輸出の関税割当数量

その他の品種の丸太などについては現行どおりの輸出関税が課される。

魚介類のうち輸出の多い冷凍ベニザケや冷凍カニの輸出関税率は現行どおりの税率が適用されるが、加盟後4年以内に輸出関税が撤廃されることとなっている。また、世界的に産出量が多く、日本も輸入に依存しているパラジウムの輸出関税率も変更はなく、加盟後4年以内に撤廃される見込みだ。

(注)具体的な日付の記載はないが、ロシアのWTO加盟日である2012年8月22日とみられる。

(浅元薫哉、宮川嵩浩)

(ロシア)

ビジネス短信 502c8ae5975e0